茹物(読み)ゆでもの

精選版 日本国語大辞典 「茹物」の意味・読み・例文・類語

ゆで‐もの【茹物】

  1. 〘 名詞 〙 茹でた物。野菜果実などを茹でたもの。うでもの。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「菜者 繊蘿蔔、煑染牛房〈略〉薦子蒸物、茹物、炒物」(出典:庭訓往来(1394‐1428頃))

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改訂新版 世界大百科事典 「茹物」の意味・わかりやすい解説

茹物 (ゆでもの)

ゆでた物,つまり湯を利用して材料を熱処理した料理。〈ゆでる〉とほぼ同義の語には〈湯煮する〉〈ゆがく〉〈ゆびく〉〈ゆどる〉〈あおる〉などがある。デンプンの糊化(こか),タンパク質の凝固,組織の軟化,あく抜きなどをおもな目的として行われる。ゆで物はゆで卵,粉ふきいも,枝豆の塩ゆでなど,ゆでたあと簡単に調味することでそのまま料理となりうるものもあるが,多くは下調理として行われ,ゆでたものをさらにあえ物,煮物揚物などに調理する。ホウレンソウはゆでてあく抜き後浸し物に,サトイモはゆでてぬめりを除いて煮物にするなどがその例である。ゆでるには,色,味などを悪くしないために,ふつう少量の塩を入れるが,ほかに,れんこん,ウドなどの色を白くあげたいときには食酢,たけのこのあく抜きには米ぬか,ワラビやゼンマイには重曹,内臓類の臭みをとるにはネギやショウガなどを加えたりする。また魚や鶏をゆで煮する場合にはブイヨンを用いることもある。〈ゆで物〉の語は《和名抄》に見られ,《延喜式》には〈茹菜〉の語があり,古くから現在の浸し物,お浸しと呼ぶ菜のゆで物料理の行われていたことが知られる。室町末期ころには〈いで鳥〉と呼ぶ料理の名が見える。ゆで鳥のなまったことばで,ガンやカモをだしを加えたしょうゆで煮たり,酒にぬかみそを加えたものでゆでて,しょうゆや酢で食べるとされている。
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