蔵前入用(読み)くらまえにゅうよう

精選版 日本国語大辞典 「蔵前入用」の意味・読み・例文・類語

くらまえ‐にゅうようくらまへニフヨウ【蔵前入用】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代幕府領での高掛物(たかかかりもの)、地方三役銀の一つ。浅草米蔵の諸入用にあてるため、元祿二年(一六八九)以降高百姓につき永二五〇文(上方は銀一五匁)を徴収された。〔弘化二年御勘定目録(徳川幕府県治要略)(1846)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「蔵前入用」の意味・わかりやすい解説

蔵前入用 (くらまえにゅうよう)

江戸時代において高掛物(たかがかりもの)と呼ばれる付加税の一つ。江戸浅草蔵前にある幕府米蔵(浅草御蔵)の経費に充てるという名目で課せられたので,こう呼ばれた。1694年(元禄7)幕府は直轄領農村に対し,村高100石につき関東では金1分(永250文),上方では銀15匁の割合で賦課するよう定めた。ただし幕領のうちでも,五街道および脇往還宿駅定助郷(じようすけごう)の村々は免除されており,さらに1756年(宝暦6)からは凶作のため50%以上の作柄不良となった村々にも免除された。蔵前入用を賦課する根拠については,かつて米納のさい俵を積む台木などの資材を村方から持参していたのに,その後これを御蔵側で準備するようになったので,その分を村方の負担として課したといわれている。同じく幕府直轄農村に課せられた伝馬宿入用六尺給米とともに,高掛三役の一つである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蔵前入用」の意味・わかりやすい解説

蔵前入用
くらまえにゅうよう

江戸幕府の付加税。浅草御米蔵(おこめぐら)の維持費伝馬宿入用、六尺給米とともに高掛(たかがかり)三役という。

[編集部]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「蔵前入用」の解説

蔵前入用
くらまえにゅうよう

御蔵前入用・浅草御蔵前入用とも。江戸時代の付加税で,高掛三役の一つ。江戸浅草におかれていた幕府米蔵の諸入用にあてるため,幕領村々に賦課された。1689年(元禄2)高100石につき,関東では金1分(永250文)とされ,このため「百石一分掛」などとも称する。上方では銀15匁(もんめ)とされた。1872年(明治5)廃止

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