改訂新版 世界大百科事典 「六尺給米」の意味・わかりやすい解説
六尺給米 (ろくしゃくきゅうまい)
江戸時代,幕府直轄領(天領)農村に課せられた高掛物と呼ばれる付加税の一種。江戸城台所の六尺と呼ばれる人夫の給米として,村高100石につき米2斗の割合で徴収した。毎年,年貢割付状によって賦課し,本年貢といっしょに米または代金で納めさせた。もとは台所で使役する六尺は百姓役として農村から徴発していたが,交替制では不慣れで役にたたず,農民も迷惑したので,やがて専業の日雇を雇うようになった。はじめは費用の負担も区々であったが,享保年間(1716-36)に経費総額を計算し,全国の幕領農村の間で一律の高掛高を定めた。なお助郷村や,以前から夫米を納入してきた村々は負担が過重となるところから免除し,また1756年(宝暦6)からは,凶作で田畑収穫の被害が5割を超した村々も免除とした。同じく幕領農村に課されている蔵前入用,伝馬宿入用とともに,高掛三役と呼ぶ。
執筆者:大口 勇次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報