石高(こくだか)に比例して賦課するものの意で、江戸時代の農村において、本年貢(ほんねんぐ)以外に、領主から村高に応じて賦課される付加税をいう。とくに天領農村に課される伝馬宿入用(てんましゅくにゅうよう)、蔵前(くらまえ)入用、六尺給米の3種を高掛三役と称した。伝馬宿入用は、五街道宿駅の維持費を補助するために村高100石につき米6升、蔵前入用は、江戸浅草の幕府米蔵の費用として高100石につき金1分(ぶ)(銀15匁(もんめ))、六尺給米は、幕府台所人夫への給米として高100石につき米2斗の割合で徴収することが、17世紀末ごろに定められた。いずれも年貢割付(わっぷ)状によって課され、村ごとに上納した。私領農村では、高掛三役のかわりに、かつて城内や陣屋の用事で徴発されていた人夫役の代替としての夫米(ぶまい)・夫金(ぶきん)や、馬飼料の代替としての糠藁(ぬかわら)代が高掛物として賦課されたが、その種類や上納額は、地域や支配領主によって多様であった。
[大口勇次郎]
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江戸時代,村高に応じて高割で賦課された付加税。幕領では,蔵前入用・伝馬宿入用・六尺給米の高掛三役が代表的。私領では,夫米(ぶまい)・夫金(ぶきん)・夫役をはじめさまざまな高掛物が賦課された。国役や助郷役・普請役なども,高割で賦課されている。一方,村方における村入用の割掛けなどにも多く高割が用いられた。
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…江戸時代において,農村の村高に応じて賦課される付加税を高掛物といい,とくに幕府直轄地(天領)農村に課せられた,五街道宿場費用に充てる伝馬宿入用,江戸浅草御米蔵維持費に充てる蔵前入用,幕府台所人夫の給米に充てる六尺給米,の3種を高掛三役と称した。単に三役ともいう。…
…つまり見取場は暫定的な反高場ということになる。反高を村高から除外したのは,村高に編入すると田租は低率としてもそのほかに高掛物(たかがかりもの)が課せられるので,耕作者は経営上引き合わず,せっかくの新田もふたたび荒廃してしまうという理由からである。反高は関東に多く,まれには反高のみで一村が立つところもあったが,一般的には本村の持添えであった。…
※「高掛物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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