藤原清廉(読み)ふじわらのきよかど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤原清廉」の意味・わかりやすい解説

藤原清廉
ふじわらのきよかど

生没年不詳。平安中期の私営田領主伊賀国の猛者(もさ)といわれた藤原実遠(さねとお)の父。大蔵丞(おおくらのじょう)から従(じゅ)五位下となり大蔵大夫(おおくらのだいぶ)と通称された。大蔵省の官人としての官歴、理財利殖の才能によって、京都を本拠に、山城(やましろ)・大和(やまと)・伊賀の三か国にわたり多くの所領を経営し、「器量ノ徳人」と称される富裕な資産家であった。『今昔(こんじゃく)物語集』巻第28~31話の逸話によると、猫をひどく怖がるのが彼の唯一の弱点であった。1020年(寛仁4)のころ、大和守(かみ)藤原輔公(すけきみ)は、未進の常習者でしたたかな清廉からなんとか官物を取り立てようと、出口の一つしかない部屋に清廉を招き入れ、数匹の猫をその部屋の中に放すという奇策を用いて彼を脅し、まんまと成功したと記されている。

黒田日出男

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原清廉」の解説

藤原清廉 ふじわらの-きよかど

?-? 平安時代中期の官吏
藤原実遠(さねとお)の父。長保6年(1004)大蔵大丞(だいじょう),従五位下となる。山城(京都府),大和(奈良県),伊賀(いが)(三重県)に所領をもつ富裕な私営田領主。猫恐(ねこおじ)の大夫(だいぶ)の異名があり,「今昔物語集」に大和の国司に猫でおどされ,滞納した租税をとりたてられた逸話がみえる。77歳で没したという。

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