虎落(読み)モガリ

デジタル大辞泉 「虎落」の意味・読み・例文・類語

もがり【虎落】

語源未詳。中国で粗い割り竹を組んで作った垣をいう「虎落」の用字転用したもの》
竹を筋違いに組み合わせ、縄で結び固めたさく垣根
特に紺屋で、枝つきの竹を立て並べ、物を掛けて干すもの。
「―の陰にかくれしを、それとも知らで帰りしは」〈浄・重井筒

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精選版 日本国語大辞典 「虎落」の意味・読み・例文・類語

もがり【虎落】

〘名〙 (「虎落」は、中国で粗い割り竹を組んで作った垣のこと。用字はその転用)
① 竹を筋違いに組み合わせ、縄で結い固めた柵。また、枝を落とした竹を粗く編み合わせて家の囲いとした垣根や塀など。竹もがり。
史記抄(1477)一三「甬道は道の両方をもかりのやうにして筒の如にするぞ」
② 枝のついた竹などを立て並べ、物を干すのに用いるもの。特に紺屋で紺掻きなどの干し場に高く作った設備
※俳諧・類船集(1676)加「紺掻(こんかき)の門にはもがりを立る也」

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改訂新版 世界大百科事典 「虎落」の意味・わかりやすい解説

虎落 (もがり)

城郭の防御施設の一種。竹を立て,結(ゆ)い並べて人馬の動きを妨げる竹矢来(やらい)のようなもの。〈模雁〉や〈茂架籬〉の字をあてることもある。虎落の字は中国の城塞の周りにめぐらした同様の施設の語によったもので,これに〈もがり〉の訓をあてた。《和訓栞》に〈もがり 竹を並べ行馬のごとく,毎節に枝を存し,物をかけほすに便りするをいふは,曲りの義なるべし〉,あるいは〈もぎはもがり也,かり反ぎ也〉とあり,《築城記》に〈モガリ竹ハ枝をソギてもくまじき也,又所々木の柱をたつる也〉とあるので,〈もがり〉の語源は〈曲り〉とも〈もぐ〉とも考えられるが,定かでない。もがりの竹の先をとがらせて外に向けて斜めに立てて結ったものを〈さかもがり〉といい,逆茂木(さかもぎ),逆木に通じた。なお冬に風が竹垣などにあたり“ひゆうひゆう”と音を発することを虎落笛という。
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普及版 字通 「虎落」の読み・字形・画数・意味

【虎落】こらく

竹矢来

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