(読み)ウジ

デジタル大辞泉 「蛆」の意味・読み・例文・類語

うじ【×蛆】

ハエアブ幼虫。体は小さな円筒状で、頭や脚ははっきりせず、白または黄色で毛がない。動物死体や便などに発生する。キンバエ類などは「さし」とよばれ、釣りの餌にする。うじむし。「がわく」 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「蛆」の意味・読み・例文・類語

うじ【蛆・蜡】

  1. 〘 名詞 〙 昆虫、ハエ、アブ類などの脚のない幼虫を総称していう。うじむし。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「一火(ひとつび)燭して入り見ます時に宇士(ウジ)たかころろきて」(出典古事記(712)上)
    2. 「膿(うな)沸き 虫(ウジ)(たか)る」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))

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普及版 字通 「蛆」の読み・字形・画数・意味


11画

(異体字)
9画

[字音] ショ
[字訓] うじ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は且(しよ)。字はもとに作り、〔説文四下に「は蠅(はへ)、中にするなり」とあって、蠅などのうじ虫をいう。蛆(しよくしよ)(こおろぎと、むかで)、水蛆(ひる)のように用いることがある。

[訓義]
1. うじ、うじ虫。
2. さす、虫がさす。
3. 酒の上に浮いたかす。

[古辞書の訓]
名義抄虫蛆 ムシ・ウジ・ワカタ(ダカマル・ヌカカ・モコヨヒ 〔立〕蛆 ウジ・カビムシ・ムシ・タカヤ・サス 〔字鏡集〕蛆 ウジ・ハエ

[熟語]
蛆渠蛆虫蛆皮蛆蠅蛆蛍
[下接語]
玉蛆・蛆・新蛆・虫蛆・浮蛆

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改訂新版 世界大百科事典 「蛆」の意味・わかりやすい解説

蛆 (うじ)
maggot

ハエやアブの幼虫の一般名。これ以外でも果実などにいる黄白色の幼虫もうじと呼ぶこともある。体は円筒形または背腹に扁平で,頭部は小さく,前胸部に引きこまれて咽頭(いんとう)機構となる。口器は吸収式で口鉤(こうこう)を上下に動かして食物をとる。体の前端には種々の感覚器をもつ。脚はなく,蠕動(ぜんどう)運動で前進するか,水生の種では,尾端を振って遊泳する。呼吸は頭部の近くにある1対の前方気門と尾端の後方気門によって行う。水生の種では気門が長管となって,それを水上に出して呼吸するものもある(ハナアブの幼虫オナガウジ)。ニクバエ類の幼虫は,尾端が陥入していてその内側に気門が位置している。ふつうに見られるうじは,イエバエ,クロバエ,ニクバエなどの幼虫で,台所のごみ,家畜の糞などから発生する。家屋内では,ヒメイエバエ,ショウジョウバエ,ノミバエなどの幼虫が発生する。食物などに産みつけられたハエの卵や幼虫を飲みこんで起こす腹痛,下痢症などを総称して,消化器ハエ症またはハエウジ症という。
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百科事典マイペディア 「蛆」の意味・わかりやすい解説

蛆【うじ】

ハエ

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蛆」の解説

蛆 (ウジ)

動物。ハエ類の幼虫の俗称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【幼虫】より

…芋虫型幼虫は胸脚は必ずあるが,腹脚はときに痕跡程度となるものもあり,これには鱗翅(りんし)目やハバチの幼虫が入る。胸・腹脚ともにないものをうじ型幼虫といい,ハエ,ハチなどの幼虫である。 幼虫の形態はその生息場所や餌の形状に適応している。…

※「蛆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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