さす(読み)サス

デジタル大辞泉「さす」の解説

さす[助動]

[助動][させ|させ|さす|さする|さすれ|させよ]上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変動詞の未然形に付く。
使役を表す。せる。させる。
「これはいさめる馬なりとて、を置きかへさせけり」〈徒然・一八五〉
動作を他に任せておいて、結果的にそうなることを表す。…に任せる。→させるしむしめるせる
「馬の腹射させて引き退く」〈平家・一二〉
(多くあとに「たまふ」など尊敬の意を表す語を伴って)尊敬の意を強める。…なさる。
「二月の二十日あまり、南殿の桜の宴せさせ給ふ」〈・花宴〉
謙譲語「聞こゆ」に付いて)謙譲の意を強める。お…申し上げる。→聞こえさす
「今一度かく見奉り聞こえさすることもなくてや」〈・行幸〉
[補説]「さす」は上代から近世まで広く用いられたが、1用法原義。近世以降は四段型にも活用する。2中世軍記物語の類に多くみられる武者言葉の一用法。34は中古以降の用法で、3の「させたまふ」「させおはします」「させらる」などは高い敬意を表す。

さ・す[動]

[動サ五(四)]動詞「させる」に同じ。「にせめてぜいたくを―・してやりたい」
[動サ下二]動詞「させる」の文語形

さす[名]

焼き畑のこと。武蔵国に多くある「指谷さすがや」という地名はこれに基づくといわれる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典「さす」の解説

さ・す

〘接尾〙 (四段型活用)
他動詞の連用形に付いて、その動作を中途でやめる意を表わす。…しかける。…し残す。
※伊勢物語(10C前)一〇四「見さしてかへり給ひにけりとなん」
※打聞集(1134頃)公野聖事「汝前生に此経を書奉りしに書さして死也」
自動詞の連用形に付いて、その動作が中途でやんだままの状態であることを表わす。…し残る。…しかかる。
源氏(1001‐14頃)宿木「さてもいつばかり思い立つべきにか〈略〉と、心とりに聞え給へば、しばし入りさして」

さす

〘名〙 焼き畑のこと。武蔵国(東京都・埼王県)に多くある指谷(さすがや)という地名はこれに基づくという。
※地名の研究(1936)〈柳田国男〉地名考説「小石川指ケ谷町のサスは亦焼畑の義である」

さ・す

[1] 〘他サ五(四)〙 人にある動作をするようにしむける。させる。
歌舞伎・傾城仏の原(1699)一「内へ呼んで話をさして顔を俺に見せよ」
[2] 〘他サ下二〙 ⇒させる〔他サ下一〕

さす

〘助動〙 ⇒させる〔助動〕

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世界大百科事典内のさすの言及

【脂燭】より

…〈職員令(しきいんりよう)〉の主殿寮(とのもりよう)にみえる灯燭の義解(ぎげ)に〈油火を灯となし,蠟火を燭となす〉とみえ,藤原頼長の《婚記》には〈布の脂燭をとりて前行す〉として布製を示している。先端に点火することを〈さす〉といい,室内で数多く用いるときは代りの脂燭を土器に盛って折敷(おしき)に据えるのを例とした。また,《鎌倉年中行事》には足利成氏の移徙(いし)(転居の敬語)に〈面々参る,松明の紙燭のもとなり〉とあって,これを〈蠟燭なり,松明と云ふ字は御祝言によつて此の如く書くなり〉と説明している。…

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