デジタル大辞泉
「蝸牛角上の争い」の意味・読み・例文・類語
蝸牛角上の争い
《「荘子」則陽の、かたつむりの左の角にある国と右の角にある国とが争ったという寓話から》小さな者同士の争い。つまらないことにこだわった争い。蝸角の争い。
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蝸牛角上の争い
大局的に見れば、非常につまらない理由で争っていることのたとえ。
[使用例] 世の中は蝸牛角上の争闘―私は東京に居る頃には、つくづくそれが厭になったですよ[田山花袋*田舎教師|1909]
[使用例] 目は広い世界に向けなければ。こんな狭い国で蝸牛角上の争いをしていて、いったいどうなる[高田宏*言葉の海へ|1978]
[由来] 「[荘子]―則陽」に載っている話から。紀元前四世紀ごろ、中国の戦国時代、魏という国が、隣国の斉と激しく争っていたときのこと。魏の王に、ある賢者が面会して言いました。「『蝸(カタツムリ)』の左の『角』に国を持つ触氏と、右の『角』に国を構える蛮氏とが、『地を争いて戦う(領地を争って戦いました)』。戦いは一五日間にも及び、死者が数万人に及んだそうですよ」。そんな話、魏王が信じるはずもありません。すると、その賢者は続けて、こんなことを言いました。「無限に広がる宇宙を想像して、その立場から考えてみれば、我々の知っている世界など、あるかないかわからないくらいの存在です。王だって、蛮氏と同じようなものではありませんか」。それを聞いた魏の王は、しばらく、魂が抜けたようになっていたということです。
[解説] ❶世間の価値観を痛快にまでひっくり返してくれるのは、「荘子」の思想の特色。ここでは、現代の反戦平和主義にも通じる、味わい深いエピソードになっています。❷世の中には、争っている当人たちにとってはとても重大なことであっても、端から見るとつまらない争いだ、ということがよくあります。そんな争いを表現する場合に使うと、ぴったりの故事成語です。
〔異形〕蝸牛の角の争い/蝸角の争い/かたつむりの角争い/蛮触の争い。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
蝸牛角上の争い
かぎゅうかくじょうのあらそい
とるに足らぬ狭いところで、つまらぬことのために争い合うことをいう。蝸牛はカタツムリのこと。カタツムリの右の角(つの)の上にある蛮(ばん)氏の国と、左の角の上の触(しょく)氏の国とが、互いに相手の地を求めて争って戦い、数万の死者を出したとある、『荘子』「則陽篇(へん)」の寓話(ぐうわ)による。『白氏文集』にも、「蝸牛の角の上に何事をか争う、石火の光の中に此身(このみ)を寄せたり」などとあり、人間の身を石火のようにはかないものに例えている。
[田所義行]
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蝸牛角上の争い
小国同士が争うこと。つまらぬことにこだわって争うこと。
[使用例] 世の中は蝸牛角上の争闘―私は東京に居る頃には、つくづくそれが厭になったですよ[田山花袋*田舎教師|1909]
[解説] 「荘子―則陽」の、カタツムリの左の角に位置する触氏と、右の角に位置する蛮氏とが互いに地を争い戦ったという寓話によることば。
〔異形〕蝸牛の角争い/蝸角の争い
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