蝸牛(読み)かぎゅう(英語表記)cochlea

翻訳|cochlea

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

蝸牛
かぎゅう
cochlea

内耳の一部を構成する音の受容器官。カタツムリの殻状をした骨性迷路で,ラセン器を備えた膜性迷路である蝸牛管がこの内部に収められている。音の振動は,外耳中耳を経て前庭窓から蝸牛内部の外リンパ液に伝えられる。蝸牛は哺乳類で最も発達しており,魚類では未発達。

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デジタル大辞泉の解説

か‐ぎゅう〔クワギウ〕【×蝸牛】

かたつむり。
内耳の一部で、カタツムリの殻状をした聴覚にたずさわる器官。基底膜などによって三つに仕切られ、人間で2回転半ほど巻き、中は内リンパで満たされている。底部は内耳道に面し、伝わってきた音を受ける神経の終末が分布する。渦巻き管。蝸牛殻

かぎゅう【蝸牛】[狂言]

狂言。やぶへかたつむりを取りに行かされた太郎冠者は、山伏をかたつむりと思い込み、連れ帰ろうとして山伏になぶられる。

かた‐つぶり【蝸牛】

《「つぶり」は円い巻き貝のこと。「かた」は「固い」の「かた」とも「笠(かさ)」の音変化ともいう》「かたつむり」に同じ。

かた‐つむり【蝸牛】

《「かたつぶり」の音変化》腹足綱有肺亜綱に属する陸生の巻き貝のうち、大形のものの総称。殻は螺旋(らせん)形で右巻きが多く、殻から頭や胴の一部を出して移動。頭に二対の触角を備え、長いほうの先端に目がある。湿気を好み、木の新葉や野菜を食べ、梅雨期に土中に産卵。まいまい。まいまいつぶろ。でんでんむし。かぎゅう。 夏》「今朝見れば夜の歩みや―/太祇

でんで‐むし【蝸牛】

《「ででむし」の音変化》カタツムリの別名。

でんでん‐むし【蝸牛】

《「ででむし」の音変化》カタツムリの別名。 夏》「角出して―の涼みゐる/月斗

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百科事典マイペディアの解説

蝸牛【かぎゅう】

内耳の一部で音の感覚を受け取る器官をいれる部分。側頭骨の中で中耳の内側にあって,カタツムリ(蝸牛)の殻の形をした,およそ2回転半の,らせん状の骨の腔所であるから蝸牛殻(かく)とも呼ぶ。その中には前庭階,鼓室階という上下の2階と中央で外壁近くにある蝸牛管という膜性の管が含まれ,リンパで満たされている。蝸牛管の中にはコルチ器と呼ぶ,リンパの振動として伝わってきた音を感受する装置がある。
→関連項目人工内耳ベケシー

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世界大百科事典 第2版の解説

かぎゅう【蝸牛】

狂言の曲名。山伏狂言。出羽の羽黒山から出た山伏が,大和の葛城(かつらぎ)山で修行を積んでの帰り道,竹やぶの中でひと寝入りしている。そこへ,主命で,長寿の薬になるというかたつむりを求めにきた太郎冠者(かじや)が出くわす。太郎冠者は,かたつむりがどんなものか知らないまま,黒い兜巾(ときん)をいただいた山伏をかたつむりと思い,声をかける。山伏は太郎冠者をからかってやろうと,ほら貝を見せたり角を出すまねをして見せるので,太郎冠者は山伏をかたつむりだと信じこみ,主人のもとへ連れて行こうとする。

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大辞林 第三版の解説

かぎゅう【蝸牛】

かたつむり」に同じ。
狂言の一。蝸牛かたつむりを知らぬ太郎冠者が、山伏をそれと思って失敗する。
渦巻うずまき管のこと。
[句項目] 蝸牛角上の争い

かたつぶり【蝸牛】

カタツムリに同じ。 [季] 夏。

かたつむり【蝸牛】

〔「かたつぶり」の転〕
軟体動物腹足綱のうち陸上にすむ貝類の総称。普通は右巻きの殻をもつ。二対の触角の長い方の先端に目がある。雌雄同体。食用になる種類もあり、フランス料理で使われる。マイマイ。マイマイツブロ。デンデンムシ。かぎゅう。 [季] 夏。 《 角出して這はでやみけり- /太祇 》

でんでんむし【蝸牛】

〔「ででむし」の転〕
カタツムリの異名。 [季] 夏。

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

蝸牛 (カタツムリ・マイマイ)

動物。陸性巻き貝でマイマイ超科のものの総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

かい‐つむり【蝸牛】

か‐ぎゅう クヮギウ【蝸牛】

[1] 〘名〙 =かたつむり(蝸牛)《季・夏》
※扶桑集(995‐999頃)七・与野土唱和往復之後余思未洩更勒二章以代懐〈惟良春道〉「蝸牛有舎客身隠、檻虎顔作気難」 〔爾雅注‐釈魚〕
[2] 狂言。各流。長寿の薬の蝸牛をとってくるように主(しゅう)に命ぜられた太郎冠者が、山伏を蝸牛と間違え、さんざんになぶられる。

かた‐つび【蝸牛】

〘名〙 (潟(かた)の螺(つび)の意かという) 「かたつむり(蝸牛)」の異名。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

かた‐つぶり【蝸牛】

〘名〙 =かたつむり(蝸牛)《季・夏》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※堤中納言(11C中‐13C頃)虫めづる姫君「いぼじり・かたつぶりなどを取り集て」

かた‐つむり【蝸牛】

〘名〙 (「かたつぶり」の変化した語) 軟体動物、有肺類に属する大形陸貝の総称。前鰓類のヤマタニシなど陸産の種を含めることもある。殻は右巻きのものが多い。頭や胴体の一部を殻の外に出して移動するが、乾燥時や驚いた時は殻の中にひっこめる。頭に二対の触角があり、長い方の一対の先端に明暗を識別できる目がある。短い方の一対は、化学物質を感じる器官といわれている。柔らかい体の表面は粘液でおおわれる。血管が網状に集まって肺の働きをする外套腔(がいとうこう)で呼吸する。口にはやすり状になった歯舌があり、これで主に枯死した草や木の葉などをなめるようにして食べ、農作物に害を与えることもある。雌雄同体で、土中に卵を産む。ふつうにみられるオナジマイマイのほか、クロイワマイマイ、ウスカワマイマイなど日本では約六〇〇種ほど知られている。でんでんむし。かたつぶり。かいつむり。まいまい。まいまいつぶろ。まいまいつぶり。かぎゅう。ででむし。《季・夏》
※天理本狂言・蝸牛(室町末‐近世初)「かたつむりを用れは其ままよひと申程に、せがれをよび出しかたつふりを取にやらうと云てよひ出す」

でで‐むし【蝸牛】

〘名〙 (「でで」は、「角(つの)よ出い出い」の意) 「かたつむり(蝸牛)」の異名。でんでんむし。《季・夏》 〔俳諧・をだまき(元祿四年本)(1691)〕
※俳諧・広原海(1703)一「蝸牛(テテムシ)のでそこなひなり蚰蜒(なめくじり)

でんでん‐でむし【蝸牛】

〘名〙 「かたつむり(蝸牛)」の異名。
※浄瑠璃・和田合戦女舞鶴(1736)一「蛇と蛙の真中へでんでん蝸牛(デムシ)の笄わげ。つのめかなめとにらみ合ふ」

でんでん‐むし【蝸牛】

〘名〙 (「ででむし」の変化した語) 「かたつむり(蝸牛)」の異名。《季・夏》 〔物類称呼(1775)〕

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世界大百科事典内の蝸牛の言及

【聴覚】より

…外耳は哺乳類で発達するが,鳥類にも一部みられる。内耳のうちで聴覚に関係するのは球形囊で,鳥類では球形囊が長くのび,哺乳類ではさらに蝸牛(かぎゆう)管に発達する。これに伴い有毛細胞の数も多くなっている。…

【内耳】より

…内耳を包んでいる組織をも含めて,この複雑な構造を迷路という。聴覚に関係する部分は蝸牛(かぎゆう)と呼び,名前のように2回転半巻いている全長約30mmの管である。平衡覚にあずかるのは,直進運動を感ずる耳石器(前庭にあり,垂直,水平の二つの方向に位置している)と,回転感を感ずる三つの半規管(三半規管)の二つに分かれる。…

【耳】より

…内耳は刺激を受容する中心的部分で,最も奥深く位置し,進化的にみて最も由来が古く,すべての脊椎動物が例外なく備えるものである。内耳の実質をなすのは〈迷路〉と呼ばれる複雑な囊状の構造で,これは動物のグループによってかなり異なるが,一般的には〈卵形囊〉とそれに付属した半円形の管である〈半規管〉,および〈球形囊〉とそれから伸びた〈蝸牛(かぎゆう)管〉という4部の中空の小囊から成る(ただし下等脊椎動物は蝸牛管をもたない)。卵形囊と球形囊は内耳の中心部をなし,これらをあわせて〈前庭〉という。…

※「蝸牛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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