衛府の太刀(読み)えふのたち

精選版 日本国語大辞典 「衛府の太刀」の意味・読み・例文・類語

えふ【衛府】 の 太刀(たち)

六衛府武官警衛のためにつけた兵仗(ひょうじょう)太刀。のちに儀仗用の太刀として装飾用になった。柄に毛抜き形の飾りを設けるのを特色とした。柄の毛抜き形は鎌倉初期までは透かし彫りとし、以後は飾り目貫(めぬき)とする。毛抜き形の太刀。平鞘の太刀。革緒の太刀。陽の太刀。野太刀
平家(13C前)四「うすあをの狩衣のしたに、萌黄威(もえぎおどし)腹巻をきて、衛府の太刀をぞはいたりける」

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デジタル大辞泉 「衛府の太刀」の意味・読み・例文・類語

えふ‐の‐たち〔ヱフ‐〕【衛府の太刀】

六衛府の武官が帯びる兵仗ひょうじょうの太刀。初め警備用であったが、のちに儀仗ぎじょう用の飾り太刀となった。毛抜き形の太刀。平鞘ひらざやの太刀。革緒の太刀。陽の太刀。野太刀。

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百科事典マイペディア 「衛府の太刀」の意味・わかりやすい解説

衛府の太刀【えふのたち】

太刀の拵(こしらえ)の一つ衛府官人警固,非常行幸(ぎょうこう)などのときに佩(は)く太刀。造りや形によって革緒(かわお)の太刀,平鞘の太刀,毛抜形の太刀などとも呼ばれる。江戸時代になると,家紋を金で高彫にした金具をつけた。

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世界大百科事典(旧版)内の衛府の太刀の言及

【太刀】より

…奈良時代には柄に鮫皮(さめかわ)をきせて鞘に漆を塗り,金銀飾の長金物(なががなもの)を入れた唐大刀(からだち)とその略式である唐様(からよう)の大刀が行われ,平安時代になると唐大刀は飾太刀(かざだち)とよばれて儀仗の最高級となり,その略式は細太刀とよばれて帯剣を許された公卿の儀仗となった。兵仗は柄を毛抜形にすかしたのが特色で,衛府(えふ)の武官の常用として衛府(よう)の太刀といい,公卿も非常の際の実用としてこれを野太刀(のだち)ともいった。また儀仗用の太刀の緒の平緒(ひらお)に対して,兵仗用は革緒(かわお)を用いるので革緒の太刀ともいった。…

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