( 1 )「華厳経」によるとインドの南端にあり、「大唐西域記」では、南インドの海岸、マラカ山の東にあると注記されている。「陀羅尼集経‐二」の注では「海島」というとされている。一種の霊地として、仏教国の各地に、これにちなむ地名が生じた。日本でも観音の霊場に多くこの名が用いられている。
( 2 )観音の浄土にあこがれて、補陀落へ出帆する補陀落渡海という宗教現象が中古から中世にかけてあった。「熊野年代記」には熊野の那智山からの渡海が記され、「発心集」には土佐の国、「観音講式」では室戸岬、「とはずがたり」では足摺岬、他に熊本県玉名市などが補陀落渡海の霊地とされている。
…観音のサンスクリット名は男性名詞であるが,観音に種々の変化身があるため,オリエント(イランを含む)の母神信仰的要素がこれを通じて仏教に入りこみ,〈准胝観音〉,〈馬郎婦観音〉,〈多羅尊観音〉などを生み出した。観音の浄土は補陀落Potalakaと呼ばれる。補陀落渡海(ふだらくとかい)【定方 晟】
[中国における観音信仰]
《法華経》の観世音菩薩普門品の教説にもとづいて観音信仰はおこった。…
…南方海上にあるという観音の浄土,補陀落世界へ往生しようとする信仰により,舟に乗って熊野那智山や四国足摺岬,室戸岬などから出帆すること。信仰のためとはいいながら,実在かどうか定かでない補陀落(インド南部にあると伝えられるPotalakaの音訳)に向かって決死の船出をするふしぎな宗教現象なので,古来なぞとされている。…
…前者は洋上はるかに隔たり,荒海によって外敵から守られた島の楽園である。東洋の伝承でいえば,蓬萊(ほうらい),竜宮,補陀落(ふだらく)(補陀落渡海)などがこれにあたる。西洋の伝承では,古代ギリシア人が遠く太陽の沈む西方洋上に,祝福された死者の国ヘスペリアHesperia(西方の国)を想像し,とくに〈ヘスペリデスの園〉の伝説を生み出した。…
※「補陀落」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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