文書上に作成者の責任を明らかにするなどのために氏名を記載し、かつ印章を捺印(押印)すること。記名は自署・ゴム印・印刷・タイプライターなどいずれでもよく、通常は、自署(署名)と区別した狭義の意味で用いられる。記名捺印において、記名と捺印との関連はとくに必要がないと認められ、たとえば本名を記載し、雅号を表した印章を押捺してもよいとされる。
商法上、署名が要求されている場合に、記名捺印をもってこれにかえることができる(商法32条)。手形法、小切手法上、署名は記名捺印を含む(手形法82条、小切手法67条)。
また、署名・押印すべき者が署名ができないときは他人に代書させて押印することも認められ、押印もできないときには拇印(ぼいん)(指印)でよいとされる場合もある(刑事訴訟規則61条)。しかしながら、婚姻・出生などの届出(戸籍法29条)、遺言証書の作成(民法968条以下)などについては、当事者の署名(自署)と、捺印が必要とされる。
[阿部泰隆・戸田修三]
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[法的効力]
法律上,印鑑とは,将来の対照用として官公庁,銀行等にあらかじめ提出しておく印影を意味する。契約書,官公庁への届書などのように,人の意思,意見などを文書に記載するとき文書の末尾に自分の氏名等を自筆したり(署名または自署),署名の末尾に捺印したり(署名捺印),あるいは印刷・ゴム印・他人の手書等で表示された氏名の文尾に捺印したり(記名捺印)することが行われる。欧米社会では署名がもっぱら用いられているのに対し,日本では慣行上ほとんどの場合に署名捺印または記名捺印が用いられ,単なる署名が用いられることはきわめて少ない。…
… 署名は,署名者にその最終的意思を確認させる(署名の主観的理由)とともに,署名者の同一性を明示するため(客観的理由)のものといえるが,これらの必要性は,代署,ゴム印の使用等,自署以外の方法で署名者の名称を記載(名称の記載一般を〈記名〉という)して拇印(または指印)や花押(かおう)(書判)をおすことによっても満たすことができる。それに,日本の一般社会生活では,重要な行為については,自署のうえなお印章を押捺すること(署名押印)をもって正式な形式とし,さらに,押印があれば名称の記載方法を問わない(記名押印,記名捺印)傾向がある。この記名押印は,みだりに印章を他人に預けない慣行を前提とすれば,署名の客観的理由は相当程度満たしたうえで,かえって他人を署名者本人の手の延長としてこれを代行させる理論構成を容易とし,他の署名方式にない機能を営むことができる。…
※「記名捺印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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