拇印(読み)ぼいん

  • ×拇印

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

拇指(親指)の先にまたは朱肉をつけて,指紋押捺すること。日本では古くから捺印代用として行なわれ,捺と同じく行為者確認の手段としてきた。ただし,印を印章捺に代わるものと認める法律は見当らない。また,手形小切手の作成の際,署名に代えて行なわれる記名捺印(手形法1条8号,75条7号,82,小切手法1条6号,67)のうちには,拇印は含まれないとするのが判例通説であるが,近年では拇印でもよいと主張する学説も少なくない。なお,犯罪被疑者の取り調べの際に作成される供述調書に署名とともにされる押印(刑事訴訟法198条5項)には,しばしば指印が用いられている(刑事訴訟規則61条1項)。

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デジタル大辞泉の解説

手の親指のに墨や朱肉をつけて、印鑑の代わりに押すもの。法律上や取引上、印鑑のないときの代用にすることができる。爪(つめ)印。

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百科事典マイペディアの解説

親指(通常は右)の指紋印章による押印の代りに押すこと。印章のないときに,拇印で代用することが広く行われる。

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世界大百科事典 第2版の解説

印章に代えて親指(拇指)の先端(第一関節から先の部分)の腹に朱肉,インキ等をつけて押す印,またはそのようにして押された指の(印顆)をいう。しかし実際には親指以外の指とくに人差指を用いることも多い。そのため指印といわれることもある。また古くは爪印ともいわれた。指紋によって本人が押したかどうかを識別することが可能であるので,押印する必要がある者が印章を持ち合わせていない場合に臨時のものとして用いられることがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

指印(ゆびいん)、爪印(つめいん)、爪判(つめばん)ともいう。親指(通常は右)の裏に印肉をつけて印章のかわりに押すこと。平安末期には拇印を押した文書が現れており、これは手印(しゅいん)(手のひらに印肉をつけて押す)の簡略化と考えられる。法律上または取引上押印を要求される場合、印章のないときに拇印で代用することが一般に行われている。現行法上も戸籍上の届け出または申請には拇印で代用することが認められており(戸籍法施行規則62条)、自筆証書による遺言の署名押印の場合も拇印でよいと解される。また刑事訴訟規則によれば、公務員以外の者が署名押印すべき場合には、拇印(指印)で代用できることになっている(同規則61条)。

[高橋康之]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 拇指(ぼし)によって印鑑の代用とすること。実印などの代わりとして、手のおや指の先に朱肉や墨をつけ、指紋を押すこと。また、その印。つめいん。
※戸籍法(明治三一年)(1898)二一八条「拇印したる場合に於ては」

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世界大百科事典内の拇印の言及

【略押】より

…なお,花押と略押を区別する基準は必ずしも明確ではなく,漢字を極端に草体化したものや,その変形を略押に含める見方もある。 花押の代用には,略押のほかに画指(かくし),拇印(ぼいん),つめ印,筆軸印(筆印)がある。画指は令制(戸令七出条)に由来して歴史は古いが,その使用例は少なく,また13世紀中ごろ以後は使用例が見られず,拇印も古代・中世には使用例が少なく,つめ印が盛行するのは近世に入ってからで,中世を通じて広く用いられたのは,略押と筆軸印であった。…

※「拇印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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