広義では、手形取引に関する私法法規の全体を意味するが、狭義では手形取引に特有な規定をさし、一般私法の規定で手形関係に適用されるもの(いわゆる民事手形法)を除外する。後者を実質的意義における手形法という。これに対し、「手形法」(昭和7年法律20号、昭和9年1月1日施行)を形式的意義における手形法という。本法は、旧来の商法第4編「手形」の規定にかわり、1930年にジュネーブで締結された手形法統一条約に基づいて制定されたものである。手形は流通証券として不特定人の間を転々流通するものであるから、手形取引の安全性と簡易化を期するために、手形法は一般に強行法規とされている。したがって、手形法はその大部分が債権法的な規定であるにもかかわらず、契約自由の原則は及ばず、手形関係はおのずから定型化し、自由裁量の余地はない。また、手形に関する法律関係は証券を中心として形式的に解決されるところから、手形法の形式性は顕著である。さらに、手形が合理的に技術化された金銭支払いの手段であるために、手形法はとりわけ技術的色彩が強い。また、手形は国際間に流通するものであるから、手形法は国際的統一の必要性が強い法分野である。
[戸田修三]
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…除権判決(〈公示催告〉の項参照)を得ることによって,権利行使が可能となる。
[手形法]
手形の流通には多数人が関与するため,その権利・義務の内容の明確さがとくに強く求められる。したがって手形に関する法制度は,他の私法領域に比べ早くから成文法化されてきた。…
※「手形法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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