証券取引等監視委員会(読み)ショウケントリヒキトウカンシイインカイ

デジタル大辞泉 「証券取引等監視委員会」の意味・読み・例文・類語

しょうけんとりひきとう‐かんしいいんかい〔‐カンシヰヰンクワイ〕【証券取引等監視委員会】

証券市場での公平、公正な取引の維持を目的として設置された独立の機関。平成4年(1992)発足。大蔵省金融監督庁を経て、現在は金融庁に所属。委員長委員2名、事務局からなる。金融商品取引法などに基づいて、毎日の市場の監視、証券会社の検査、インサイダー取引相場操縦損失補塡などの調査・告発を行う。証券監視委SESC(Securities and Exchange Surveillance Commission)。SECとも略す。

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共同通信ニュース用語解説 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会

証券会社による損失補てん事件を契機として1992年に発足。株価操縦やインサイダー取引といった不正取引や上場企業粉飾決算を監視し、金融商品を扱う業者を監督する。金融庁のほか、国税庁検察庁の出身者、公認会計士が在籍。委員長と委員2人で構成する委員会本体と実務を担当する事務局が置かれている。強制調査権があり、関係先を家宅捜索できる。違反があれば検察庁に刑事告発し、悪質性が高くない場合は金融庁に課徴金納付などの行政処分命令を出すよう勧告する。

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精選版 日本国語大辞典 「証券取引等監視委員会」の意味・読み・例文・類語

しょうけんとりひきとうかんし‐いいんかい‥ヰヰンクヮイ【証券取引等監視委員会】

  1. 〘 名詞 〙 証券取引の公正性確保のために、平成四年(一九九二)大蔵省内に設置された政府機関。同一〇年金融監督庁の下に移った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「証券取引等監視委員会」の意味・わかりやすい解説

証券取引等監視委員会
しょうけんとりひきとうかんしいいんかい

証券取引に関する犯則事件の調査、検査および取引審査を行うための行政委員会。「自由、公正で透明、健全な証券市場の実現」を基本的目標とする行政部門から独立した委員会の設置を要請する機運が高まり、アメリカのSEC(証券取引委員会)を範として、1992年(平成4)7月に証券取引等監視委員会が設置された。内閣府設置法第54条に基づき、合議制の機関として金融庁に置かれているが、独立してその職権の行使を行うことができる。委員は内閣総理大臣により任命され、任期は3年で在任中罷免されることはない。

 有価証券報告書の虚偽記載損失補填(ほてん)、相場操縦、インサイダー取引等の犯則事件の調査では、裁判官が発行する許可状により強制調査を行い、心証を得た場合は告発を行うことも可能である。また、それらの調査に基づき、行政処分その他の措置について、内閣総理大臣および金融庁長官に対し、勧告、建議を行い、実際どのような措置をとったかについて報告を求めることができる。その他、日常的な市場監視、証券会社等の金融機関に対する臨店による検査、一般からの電話やインターネットを通じた情報受付も行っている。

 2007年(平成19)7月から2008年6月にかけての取引審査は、価格形成に関するもの141件、内部者取引に関するもの951件、その他6件の合計1098件であった。日本の証券取引等監視委員会の人員は2008年度末で358人であり、体制整備に向けた増員要求が出されている。

[大村敬一・万年佐知子]

『金融庁証券取引等監視委員会編『証券取引等監視委員会の活動状況』各年版(財務省印刷局)』

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改訂新版 世界大百科事典 「証券取引等監視委員会」の意味・わかりやすい解説

証券取引等監視委員会 (しょうけんとりひきとうかんしいいんかい)

証券取引および金融先物取引の監視を行うために,1992年証券取引法改正(210条以下)により設置された国の機関。当初は大蔵省に属したが,98年6月金融監督庁の発足とともに同庁のもとに移された。委員長と2人の委員をもって組織され,その事務を処理するための事務局を有する。証券会社,金融先物取引業者等に対し検査を行い,証券取引および金融先物取引の内容の審査を通じて日常的な市場監視を行い,証券取引および金融先物取引に関する犯則事件につき任意または強制の調査を行う。検査または犯則事件の調査の結果に基づき,必要があると認めるときは,行政処分その他の措置を勧告しまたは施策について建議をし,犯則事件の調査により犯則の心証を得たときは,告発を行う。証券会社等に対する検査,日常的な市場監視,犯則事件の調査を通じ,証券市場および金融先物市場の公正性・透明性を確保し,その健全な機能の発揮に大きく寄与しており,アメリカの証券取引委員会(SEC)に相当する役割を持つ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「証券取引等監視委員会」の意味・わかりやすい解説

証券取引等監視委員会
しょうけんとりひきとうかんしいいんかい
Securities and Exchange Surveillance Commission

証券市場の公正性,透明性を確保し投資者保護を目的とする行政機関。1992年7月に「証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律」が施行されると同時に発足した。アメリカ合衆国の証券取引委員会 SECをモデルとしたことから,日本版SECと呼ばれることもある。バブル経済後の 1991年,証券・金融不祥事が相次いだ。それを契機に証券行政について,大蔵省証券局による事前チェック型の裁量行政が厳しく批判され,その反省から裁量を排した透明な市場ルールに基づく事後監視型の行政への転換や,証券会社などの監督と市場ルールの遵守を監視する役割の分離が求められるようになった。そこで,事後監視型の機関として証券取引等監視委員会が発足した。当初は大蔵省内に設置されたが,1998年6月,総理府の外局として発足した金融監督庁に移管され,2001年1月に行政改革の一環として内閣府の外局となった金融庁に移管された。2007年には金融商品取引法の施行に伴って,証券検査,課徴金調査,開示検査,反則事件の調査の権限が拡大された。調査の一環として,一般からの通報を受け付けている。

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百科事典マイペディア 「証券取引等監視委員会」の意味・わかりやすい解説

証券取引等監視委員会【しょうけんとりひきとうかんしいいんかい】

証券・金融不祥事の再発防止を目的として1992年設置された国の機関。当初は大蔵省に属したが,1998年6月金融監督庁の発足にともない同庁に,2001年中央省庁再編により内閣府の外局として発足した金融庁に移管された。米国のSECに相当する機関で,強制捜査権をもち株価操作やインサイダー取引損失補填などの不正な取引行為をチェックし,司法当局に告発したり内閣総理大臣に勧告する権限をもつ。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会

1992年に設立された証券取引を監督する機関。国会の同意と内閣総理大臣の任命を受けた、委員長と2人の委員によって構成される。さらに委員会のもとには職員400人強の事務局も置かれている。インサイダー取引、風説の流布など、証券取引法に違反する行為は全てこの委員会が監視、通報の処理を行なっている。しかし、アメリカの証券取引監督機関であるSEC(米国証券取引委員会)と比べて実行力に欠けるという指摘がある。その理由として、捜査の権限が与えられていないこと、また組織上も、金融庁所管の「審議会」の位置づけであるため独立性が薄い、といった点が挙げられている。このような指摘をもとに、委員会組織の強化が一部で提唱されている。

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知恵蔵 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会

個人投資家の保護のため、市場における公正な取引を実現するために金融庁に設置された委員会。1992年の設置時には旧大蔵省に置かれたが、2001年から金融庁に属する。委員会という名称だが、組織としての位置付けは「審議会等」である。インサイダー取引や相場操縦、証券会社役職員など市場仲介者の法令違反、有価証券発行体である企業等の虚偽の開示などについて検査、捜査、告発、摘発を行う。なお、米国のSEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)と異なり、独自で行政処分を行うことや開示内容を監督することはできない。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)

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株式公開用語辞典 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会

国民経済が適切に発展するためには、企業の発展が不可欠であり、そのためには、資金調達・資金運用の場である証券市場が適切に機能することが必要である。証券市場が適切に機能することは、幅広い投資家層が安心して証券市場に参加できることが必要であり、個々の取引の公正性が十分に確保されていることが不可欠である。そこで、公正性の確保を図るために、個人投資家の保護に全力を尽くすことを最大の目標とした機関として、1992年証券取引等監視委員会が当時の大蔵省の機関として発足した。現在は、金融庁内に設置されている。

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人事労務用語辞典 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会(SESC)

証券取引及び金融先物取引の公正を図るために設けられているのが、証券取引等監視委員会(SESC)です。アメリカの証券取引委員会(SEC)がモデルとされ、「市場の番人」として期待されています。
(2006/6/5掲載)

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M&A用語集 「証券取引等監視委員会」の解説

証券取引等監視委員会

略称はSESC。証券取引に不正が無いか監視する機関のこと。相場操縦、インサイダー取引等を取り締まる。M&A取引では大量保有報告書の開示など (詳細は5%ルールを参照) が義務付けられている。

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