試みる(読み)ココロミル

デジタル大辞泉 「試みる」の意味・読み・例文・類語

こころ・みる【試みる】

[動マ上一][文][マ上一]《心見る、の意》
実際に効力・効果などをためすために行う。ためしにやってみる。「実験を―・みる」「抵抗を―・みる」
試飲・試食をする。
「此のいひと今の供養の飯と速やかに―・み合はすべし」〈今昔・四・二〉
[用法]こころみる・ためす――「機械がうまく動くかどうかもう一度試みる(試す)」など、とにかくやってみるの意では相通じて用いられる。◇「試みる」は、どんな結果になるかわからないが、とにかくやってみるという意が強い。「被災地と連絡を取ろうと試みたが駄目だった」などと使う。◇「試す」は「耐久性を試す」「恋人の心を試す」など、対象とするものの性能・実態を知るためにやってみるの意が強い。
[類語]試す実験試験試行テストエクスペリメント小手調べ腕試し力試し運試し肝試し試走踏み絵トライ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「試みる」の意味・読み・例文・類語

こころ‐・みる【試】

  1. 〘 他動詞 マ行上一 〙
  2. ためしに行なう。やってみる。また、効果などを実地に試験してみる。
    1. [初出の実例]「僉(みな)(まう)さく天穂日(あまのほひ)の命是れ神(かみ)の傑(すくれたる)なり。試(ココロミ)たまは不(さ)る可けん歟(や)」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
    2. 「猶これをやきて心みんと云」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    3. 「私は一寸眼をねむって心を鎮めようと試みました」(出典:范の犯罪(1913)〈志賀直哉〉)
  3. 特に、治療などをしてみる。診察する。
    1. [初出の実例]「猶しばし心みよとのみのたまはするに、日々にをもり給て」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  4. 試飲、試食する。
    1. [初出の実例]「此、仏の在世の時の飯也、断惑の聖人の食也。此の飯と今の供養の飯と速に試み合すべしと」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)

試みるの語誌

( 1 )平安時代の用例は上一段活用が普通。本来は上一段活用だけと考えられる。「色葉字類抄」には前田本、黒川本共に「試 ココロム 式吏反 ココロミル」とあり、院政期あたりから上二段活用もあらわれて、並行して用いられたようである。
( 2 )中世以降は上二段活用の方が一般化したらしく、たとえば「文明本節用集」などの古本節用集では、多く「試 ココロム」とある。近代以後ふたたび上一段化したと考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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