誕生院(読み)たんじよういん

日本歴史地名大系 「誕生院」の解説

誕生院
たんじよういん

[現在地名]鹿島市大字納富分字行成

もと新義真言宗別格本山覚鑁(興教大師)の生誕地。中川の扇状地琴路きんろ神社の北東にある。密厳山誕生院と称する。現在は単立寺院。

明徳年間(一三九〇―九四)足利義満の発願により、応永一二年(一四〇五)定成によって根来山大伝法院(新義真言宗大本山)末寺として創立されたが、永禄元年(一五五八)大友宗麟の兵火にかかり廃滅。元禄三年(一六九〇)鹿島四代藩主鍋島直条が再興を企てたが、幕府や本藩の圧迫で果せなかった。直条の編述になる「鹿島志」に「能美の深木村なる田畔の森蔚中は相伝へて覚鑁上人の産れし所の地なりといふ。

誕生院
たんじよういん

[現在地名]日高町志賀 久志

山の南東麓にある。紫雲山と号し、浄土宗本尊阿弥陀如来。開山徳本行者を祀る。徳本(名蓮社号誉)は宝暦八年(一七五八)当地に生れ、二五歳のとき往生おうじよう(現和歌山県御坊市)に入り、のち各地に転住、文化一四年(一八一七)江戸小石川一行こいしかわいちぎよう(現東京都文京区)一世となり、文政元年(一八一八)に没した。誕生院は同七年の開基。天保七年(一八三六)誕生院と称するよう和歌山藩主徳川治宝より許可があったという。すでに文政三年頃から小祠を建てて徳本を祀っていたとも伝えるが、同七年大坂船場や長堀の弟子および講員六〇余名が当地に小堂を建立、誕生庵と称した。天保二年下富安しもとみやす(現御坊市)の廃寺浄安じようあん寺の寺号を移し、浄安寺と改称

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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