(読み)こう(その他表記)gào

精選版 日本国語大辞典 「誥」の意味・読み・例文・類語

こうカウ【誥】

  1. 〘 名詞 〙 天子が布告する文。転じて、上から下へ申し渡すもの。古代中国に始まり、宋以後は任官辞令にも用いた。
    1. [初出の実例]「その間誥と云ことおこる」(出典:制度通(1724)四)
    2. [その他の文献]〔文体明弁‐誥〕

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普及版 字通 「誥」の読み・字形・画数・意味


14画

[字音] コウカウ
[字訓] つげる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(告)(こく)。(浩)・(皓)(こう)の声がある。は神に告げて祈る意。〔説文〕三上に「ぐるなり」とあり、誥とは上より下に告げることをいう。〔書、酒誥〕「王、小子・正・事に誥す」、〔書、召誥〕「庶殷と乃(なんぢ)の事とに誥す」など、みな誥命の意である。

[訓義]
1. つげる、下につげる、命ずる、教える、そのことば、その文。
2. 王命、その文体
3. 教え治める。

[古辞書の訓]
名義抄〕誥 ツグ・カムカフ・ツツシム・ツカフ・アラハス 〔字鏡集〕誥 モトム・ヒソム・ツグ・シハム・ツカフ・カラカフ・カコツ・ツツシム・アラハス

[語系]
誥・kukは同声。祝詞を木の枝につけて神前に捧げる形で、神に告げ祈る意。それに対して神意が示されることを誥という。その神告を以て下に伝えるので、転じて詔誥教命の類をいう。

[熟語]
誥戒誥誡・誥教誥告誥誓誥勅・誥・誥命
[下接語]
雅誥・訓誥・申誥・真誥・親誥・制誥誓誥・大誥・典誥・論誥

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改訂新版 世界大百科事典 「誥」の意味・わかりやすい解説

誥 (こう)
gào

中国で古く王命を呼ぶ。言をもって人に告げるところからこの字が使われ,《尚書》の〈康誥〉〈大誥〉〈酒誥〉等みなそれに属し,おもおもしい言葉で臣民に宣言されている。官吏任命封爵賜与も誥によって行われたので,後世はもっぱらその意味に用いられ,辞令が制誥,誥命,誥とよばれた。誥は立派な綾絹で表装され,大型の朱印を押したものが一般で,清代には満漢両文が併記された。
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