朱印(読み)シュイン

世界大百科事典 第2版の解説

朱肉を使っておす印。黒印と対応して使われる。歴史的には朱印が正式とされ,略式の黒印より優位にあって,庶民階級は明治以降はじめて朱印の使用を公認された。古代の黒印は蔵書印にのみ見えるが,これは二次的な印章としての使い方である。しかし,中世前期には一次的な印章たる黒印として花押を版刻した花押印が便宜的略式印として文書に使われはじめた。それはその印の使用主が事故によって花押がかけない場合か,または請取状のように多量の同一文書を発給する場合である。

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大辞林 第三版の解説

朱色の印肉で押した印。特に、戦国時代以降、将軍・大名・武将などが命令・公認などの公的文書に用いたものをいう。御朱印。
「朱印状」の略。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 朱色の印判。また、それを押すこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・毛吹草(1638)六「紅葉葉は秋をたがへぬ朱印(シュヰン)哉〈弘永〉」
※春の城(1952)〈阿川弘之〉二「公用の朱印を押した私信を封入して」
② 公文書に押す朱色の印判。奈良時代以来用いられてきたが平安時代以降は印でなく花押によって差出所・責任者を明示する文書が多くなった。しかし室町時代末期に至って戦国大名の発給する文書に印判(朱印、黒印など)を押したものが急速に増加し、信長、秀吉、また徳川幕府の将軍もこれを多用した。ふつう、歴史的に「朱印」という場合は戦国時代以降のものをさすことが多い。また、黒印は朱印に比べてその文書の内容が軽い傾向がある。
※信長公記(1598)三「其上稲葉伊予守に仰付けられ、御朱印調させ遣はされ」
※多聞院日記‐天正五年(1577)五月八日「新屋郷付、去三日に円明院・蓮成院江州安土へ越候処、如当方本意相調、今日被帰了。朱印は不出」

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