調査研究広報滞在費(読み)チョウサケンキュウコウホウタイザイヒ

デジタル大辞泉 「調査研究広報滞在費」の意味・読み・例文・類語

ちょうさけんきゅうこうほうたいざい‐ひ〔テウサケンキウクワウホウタイザイ‐〕【調査研究広報滞在費】

国政に関する調査研究などの名目国会議員支給される経費。月額100万円。非課税で、使途報告や領収書添付の義務はない。旧称文書通信交通滞在費
[補説]令和4年(2022)に現名称に変更され、月ごとの一括支給から、在職日数に応じた日割り支給に改められた。

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共同通信ニュース用語解説 「調査研究広報滞在費」の解説

調査研究広報滞在費

旧文書通信交通滞在費。全国会議員に対し、サラリーマン給与に当たる歳費とは別に、月額100万円支給される手当。2021年10月31日の衆院選で当選した新人議員に対する10月分の満額支給を契機に日本維新の会が問題提起。見直しの機運が高まった。22年4月の法改正で日割り支給に改められ、目的も「国政に関する調査研究、広報国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」となった。自民党では、私設秘書の給与や事務所経費への流用、派閥活動に充てていた議員の存在が指摘されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「調査研究広報滞在費」の意味・わかりやすい解説

調査研究広報滞在費
ちょうさけんきゅうこうほうたいざいひ

給与やボーナスにあたる議員歳費(年間約2200万円)とは別に、国会議員に毎月支給される公費。旧・文書通信交通滞在費(略称は文書通信費、文通費)。国会法第38条の「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため、別に定めるところにより手当を受ける」という規定に基づき、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(歳費法)」第9条によって支給が定められている。支給額は月額100万円で、在職日数に基づく日割り支給(衆議院解散時と議員死亡時は在職日数にかかわらず満額支給)。税金はかからない(歳費法第9条2項)。領収書の添付義務や使途の報告・公開義務はなく、目的外使用への罰則もない。通信費、交通費、滞在費のほか、私設秘書の給与支払い、物品購入、支持者らとの会食代などに広く使われている。使い道が不透明なうえ、「経費」か「手当」なのか、その性質さえはっきりしておらず、国会議員の「第二の給与」とか「議員特権」と揶揄(やゆ)されることが多い。なお、国会議員には歳費、調査研究広報滞在費のほか、立法に関する調査研究のための手当である「立法事務費」(月額65万円)も支給される。また、国会議員の調査研究広報滞在費や立法事務費と同様に、地方議員の場合、資料購入費や視察旅行費として支給される公費を「政務活動費」とよぶ。

 1947年(昭和22)に「通信費」(月額125円)、「滞在雑費」(日額40円)として支給が始まり、物価上昇に伴って支給額が増え、名目も「通信交通費」「文書通信交通費」「文書通信交通滞在費」と変わった。2001年(平成13)、衆院議長から諮問を受けた有識者による「衆議院改革に関する調査会」は旧・文書通信交通滞在費について、領収書を添付した使途報告書を公開すべきだと答申した。2021年(令和3)の衆院選後、在職1日の新人議員にも月額100万円が満額支給される実態が批判され、2022年4月の国会法や歳費法などの改正で現名称に変更するとともに、日割り支給が実現した。しかし使途の制限・公開、領収書の添付義務、未利用分の国庫返納などは実現していない。英米などの主要国では議員手当について、使途公開や実費精算などが制度化されている。

[矢野 武 2022年8月18日]

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