精選版 日本国語大辞典 「譬喩歌」の意味・読み・例文・類語
ひゆ‐か【譬喩歌】
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
『万葉集』の歌の分類の一つ。『万葉集』では「正述心緒(ただにおもひをのぶる)」の歌、「寄物陳思(ものによせておもひをのぶる)」の歌とともに、物のみを表に出して心に思うことをたとえる「譬喩」の歌をたてており、表現方法を基とした歌の3分類の一つである。なお、『万葉集』では、歌を詠んだ事情や動機を基に、雑歌(ぞうか)、相聞(そうもん)、挽歌(ばんか)の3分類もたてているが、これとは異なった分類基準による分け方である。譬喩歌では、心の思いは、歌の表に出したものに隠されて直接には表現されず、また、恋歌に限られている。「託馬野(つくまの)に生ふる紫草衣(むらさききぬ)に染(し)めいまだ着ずして色に出でにけり」(万葉集)。平安時代以後この分類名がみられないのは、和歌において譬喩的表現が一般化したためであろう。
[新井栄蔵]
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