象引(読み)ゾウヒキ

デジタル大辞泉 「象引」の意味・読み・例文・類語

ぞうひき〔ザウひき〕【象引】

歌舞伎十八番の一。歌舞伎荒事あらごとの演出形態で、荒事師悪方あくがたが象を引き合うもの。元禄14年(1701)江戸中村座の「傾城王昭君けいせいおうしょうくん」で、初世市川団十郎と初世山中平九郎が演じたのが最初という。

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精選版 日本国語大辞典 「象引」の意味・読み・例文・類語

ぞうひきザウひき【象引】

  1. 歌舞伎十八番の一つ一幕。元祿一四年(一七〇一)江戸中村座で、初世市川団十郎が演じた「傾城王昭君」の一節にある、蘇我入鹿と藤原鎌足の臣、山上源内左衛門とが象を引き合う荒事を独立させたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「象引」の意味・わかりやすい解説

象引 (ぞうひき)

歌舞伎十八番の一つ。荒事師と悪人方巨象を引き合うという場面を眼目とし,〈草摺引〉〈卒塔婆引〉〈錣引(しころびき)〉などと同じく,〈引合い事〉などと称されるものの一つ。1701年(元禄14)正月江戸中村座の《傾城王昭君(けいせいおうしようくん)》で初世市川団十郎と初世山中平九郎とにより初演との説が有力だが疑問。ほかにその前年3月江戸山村座の《薄雪今中将姫(うすゆきいまちゆうじようひめ)》,09年(宝永6)7月山村座の《傾城雲雀山(けいせいひばりやま)》などに演ぜられたとの説は誤りであり,33年(享保18)11月上演説も根拠が薄弱である。〈象引〉の場面を想像させるものは,アメリカのネルソン・アトキンス・オブ・アート所蔵の初世鳥居清倍(きよます)画の大々判丹絵およびこれを模写した鳥居清峰(2世清満)画の錦絵である。大正以後,2世市川段四郎,2世市川左団次,5世市川三升(10世団十郎),2世河原崎長十郎,2世尾上松緑が,《象引》という題名でそれぞれ新作上演している。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「象引」の解説

象引
ぞうひき

歌舞伎・浄瑠璃外題
作者
三升屋兵庫
初演
元禄14.1(江戸・中村座)

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