貧困ビジネス(読み)ヒンコンビジネス

デジタル大辞泉 「貧困ビジネス」の意味・読み・例文・類語

ひんこん‐ビジネス【貧困ビジネス】

経済的に困窮した人の弱みに付け込んで利益をあげる悪質な事業行為。一部家賃保証会社による違法な家賃の取り立て、囲い屋による生活保護費詐取など。貧困ビジネスを行う業者は、社会的企業を標榜しながら、実際には生活に困窮した状態から抜け出せないようにして不当に利潤を得ている場合も多い。

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共同通信ニュース用語解説 「貧困ビジネス」の解説

貧困ビジネス

生活保護受給者らからさまざまな手口で金を集め、利益を生み出す手法を指す。路上生活者らに住居を用意し、家賃や食費などの名目で保護費をピンハネする「囲い」のほか、引っ越し代や医療費を不正受給させる手口がある。2003年ごろから出現したとされ、支援者を装った市民団体や不動産業者、暴力団関係者らが全国各地で摘発されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貧困ビジネス」の意味・わかりやすい解説

貧困ビジネス
ひんこんびじねす

生活保護受給者やホームレスをはじめとする貧困層標的として、さまざまな手口で金を稼ぐこと。1990年代以降に景気後退がみられ、生活保護受給世帯が増加の一途をたどり始めたころから、社会問題として浮上した。特定非営利活動法人「もやい」の事務局長、湯浅誠(1969― )が提唱したことばである。月刊誌『世界』(2008年10月号、岩波書店)に掲載された「貧困ビジネスとはなにか」で、湯浅は「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」と定義している。貧困ビジネスには、無料低額宿泊所、住み込み派遣、消費者金融、闇金融、ゼロゼロ物件(「敷金ゼロ、礼金ゼロ」の賃貸住宅)などにかかわるさまざまな違法、あるいは脱法行為があり、社会的弱者のセーフティネットを装った団体や不動産業者、暴力団関係者などが全国で摘発されている。たとえば、社会福祉法で定められた生活困窮者のための宿泊施設である無料低額宿泊所関連では、路上生活者などに生活保護費を受給させる目的で施設に囲い入れ、狭小な生活空間とわずかな食事しか提供せず、受給した生活保護費から、家賃や食費などの名目で必要以上の金額を徴収するという手口が使われている。2014年(平成26)10月、さいたま市の無料低額宿泊所の運営者が、所得税法違反容疑で逮捕された事件では、運営者が入居者を役所に連れて行き、支給された約12万円の生活保護費全額を徴収し、入居者には、毎日数百円の小遣いなど月2万円程度を戻していただけであった。同年7月には、名古屋市の建設業者による同様の事件も発覚している。

 厚生労働省は2003年に無料低額宿泊所のガイドラインを策定したが、運営者の管理などにかかわる料金については具体的な規定を設けていない。そのため、大阪府は2010年に全国で初めて、生活保護受給者から高額な家賃やサービス料などを徴収する「囲い屋」などの貧困ビジネスを規制する条例を定めた。その後、条例で規制する動きが各地に広がっている。

 2015年7月からは、生活保護費のうちの住宅扶助の要件として、地域と世帯人数ごとに定めた基準額に床面積を加える見直しが行われ、貧困ビジネスに多い狭小な住環境では十分な住宅扶助を受けられなくなった。

[編集部]

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