赤礬(読み)せきばん(その他表記)bieberite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤礬」の意味・わかりやすい解説

赤礬
せきばん
bieberite

硫酸塩鉱物の一種。天然物は針状。合成物は底面と柱面とからなり、菱形(ひしがた)の断面をもつ単斜柱状あるいは単斜粒状。だいたい同組成の溶液が供給されるような場では、非常に微細ではあるが、この鉱物の鍾乳(しょうにゅう)石が生成されることがあるという。色からすると紅礬(こうばん)のほうが適当であるが、皓礬(こうばん)と発音が同じになってしまうので、赤礬という和名が採用された。

 コバルトの二次鉱物または初生コバルト鉱物としては、輝コバルト鉱やサフロ鉱など硫砒(りゅうひ)化物やヒ化物が普通であるため、赤礬の出現はその分解物コバルト華よりまれである。日本では室内に保存されていた山梨県北杜(ほくと)市鳳来(ほうらい)鉱山(閉山)の含コバルト黄鉄鉱鉱石の表面に発生しているのが確認されたのが最初である。

 同定は色、可溶性、低い硬度による。合成物では底面に平行で完全な劈開(へきかい)を確認できることがある。坑内の温度によってはCo[SO4]・6H2Oに相当するムーアハウス石moorhouseiteが生成されることがあるが、これと混在していてもわからない。英名は原産地ドイツのBieberに由来する。

加藤 昭 2017年8月21日]


赤礬(データノート)
せきばんでーたのーと

赤礬
 英名    bieberite
 化学式   Co[SO4]・6H2O
 少量成分  Mg,Cu,Fe
 結晶系   単斜
 硬度    2
 比重    1.94
 色     紅。薔薇赤色と記述されることもある
 光沢    ガラス
 条痕    無
 劈開    一方向結晶の伸びの方向に平行
       (「劈開」の項目参照

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最新 地学事典 「赤礬」の解説

せきばん
赤礬

bieberite

化学組成CoSO4・7H2Oの鉱物。単斜晶系,空間群P21/c, 格子定数a14.040nm, b6.495, c10.925, β105.27°,単位格子中4分子含む。皮殻状・鍾乳石状をなす。劈開{001}完全,硬度~2,比重1.96。ガラス光沢,赤色,亜透明。室温で脱水し,直ちに六水和物のムーアハウスアイトに変わり不透明粉末状となる。透過光で無色~淡紅色,屈折率(人工)α1.4748, β1.4820, γ1.4885, 2V(+)88°。少量のCuおよびMgが置換する例がある。水に可溶。コバルトを含有する硫化物,砒化物の酸化による二次鉱物として産出する。産出地ドイツのBieberから命名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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