皓礬(読み)コウバン(その他表記)goslarite

デジタル大辞泉 「皓礬」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばん〔カウ‐〕【××礬】

硫酸亜鉛の七水和物のこと。

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関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「皓礬」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばんカウ‥【皓礬】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こうはん」とも ) 硫酸亜鉛の七水塩。化学式 ZnSO4・7H2O 止血剤媒染剤木材防腐剤などに用いる。〔和英語林集成初版)(1867)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「皓礬」の意味・わかりやすい解説

皓礬
こうはん
goslarite

硫酸亜鉛七水化物。舎利塩(しゃりえん)epsomite(化学式Mg[SO4]・7H2O)系。天然ではZn[SO4]・6H2Oがビアンキ石、(Zn,Mg)[SO4]・4H2Oがボイル石boyleite(Zn:Mg≃6:1)、(Zn,Mn)[SO4]・H2Oがガニング石Gunningiteとよばれる。自形は鉱物として未報告。薬品として売られているものには斜方短柱状の結晶をなすものがある。天然のものは粉末状、繊維状あるいは鍾乳(しょうにゅう)状。各種亜鉛鉱床の二次鉱物として産し、坑道の壁面や坑木上などにも着生することがある、いわゆるpost-mining mineral(鉱山活動終了後生成の鉱物)である。日本では宮城県栗原(くりはら)市細倉鉱山(閉山)や秋田県大館(おおだて)市小坂鉱山(閉山)などの酸化帯から知られる。

 共存鉱物としては、直接共存物として意味のあるものは石膏(せっこう)であるが、生成時期が異なれば、ビアンキ石、緑礬(りょくばん)や胆礬(たんばん)とも共存する。肉眼的観察だけでは、同系の他の可溶性硫酸塩と識別できない。独特の不快臭を放ち、臭覚の敏感な人はかぎ分けられるというが、文章では表現できないという。また、その味も緑礬や舎利塩とは明らかに異なるが、これも表現できない。英名は原産地ドイツのゴスラーGoslarにちなむ。

加藤 昭 2016年8月19日]


皓礬(データノート)
こうはんでーたのーと

皓礬
 英名    goslarite
 化学式   Zn[SO4]・7H2O
 少量成分  Mg,Fe,Ni,Mn
 結晶系   斜方(直方
 硬度    2~2.5
 比重    1.97
 色     無,白
 光沢    ガラス。繊維状のものは絹糸光沢
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   可溶性。39℃で脱水して6H2Oになり,70℃でH2Oになる。この間に不安定な4H2Oが生成される

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世界大百科事典(旧版)内の皓礬の言及

【硫酸亜鉛】より

…白色結晶。以前は白色の硫酸塩であることから皓礬(こうばん∥こうは)とも呼ばれた。MgSO4・7H2Oと同形で斜方晶系。…

【硫酸亜鉛】より

…白色結晶。以前は白色の硫酸塩であることから皓礬(こうばん∥こうは)とも呼ばれた。MgSO4・7H2Oと同形で斜方晶系。…

※「皓礬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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