赤面(読み)アカツラ

デジタル大辞泉 「赤面」の意味・読み・例文・類語

あか‐つら【赤面/×赭面】

《「あかづら」とも》
赤い顔。あからがお。あかっつら。
歌舞伎の化粧法の一つで、顔を赤いの粉で塗ること。また、その役柄。勇猛と奸悪二様性格を表したが、のちには敵役かたきやくの称となった。赤り。あかっつら。

せき‐めん【赤面】

[名](スル)
赤い顔面。あからがお。
恥じて顔を赤らめること。また、恥じること。「赤面の至り」「おとなげなかったと赤面する」
感情が顔に表れて赤くなること。「興奮のあまり赤面する」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「赤面」の意味・読み・例文・類語

せき‐めん【赤面】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 赤い顔。赤ら顔。朱顔。
    1. [初出の実例]「諸侯になってもうてぬ人ぢゃ。赤面な人ぞ」(出典:京大二十冊本毛詩抄(1535頃)六)
    2. [その他の文献]〔薩都剌‐威武曲〕
  3. ( ━する ) 何かの原因で顔が紅潮すること。
    1. (イ) 恥ずかしさのために顔が赤くなること。顔を赤らめて恥じ入ること。また、その顔。
      1. [初出の実例]「蒙此仰之間、彌向壁赤面臥地流汗了」(出典明衡往来(11C中か)上末)
      2. 「初心なる女郎は、脇からも赤面(セキメン)して、ゐられしに」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)七)
    2. (ロ) 喜び、悲しみ、怒り、困惑などで興奮して顔を赤くすること。また、その顔。
      1. [初出の実例]「喧𠵅眼になりつつ、赤面(セキメン)しける有様、世にある人はすまじきなり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
    3. (ハ) 酒を飲んで顔を赤くすること。〔貫休‐懐張為周朴詩〕
  4. 恥をかくこと。また、恥。不名誉。恥辱
    1. [初出の実例]「くるしみとせきめんとをくはへて、其たのしみをうくる事だうり也」(出典:こんてむつすむん地(1610)三)
    2. 「其の大恩を〈略〉酬はずんば赤面(セキメン)の至りなりと」(出典:人情本・恩愛二葉草(1834)二)

あか‐づら【赤面・赭面】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あかつら」とも )
  2. 赤い顔。赤銅色をした顔。多くは人をののしっていう。あからがお。あかっつら。
    1. [初出の実例]「Acazzura(アカヅラ)〈訳〉赤い顔」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 歌舞伎の化粧法の一つ。強烈な性格表現のため顔を赤く塗ること。近世初期、江戸歌舞伎では立役、京坂歌舞伎では敵役を意味したが、中期以降は、敵役に統一された。あかっつら。あかぬり。
    1. [初出の実例]「赤面に楽屋の奉行あがき舞」(出典:俳諧・うたたね(1694))

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