鎌倉・室町幕府の職名。将軍出行の際,徒歩で随行して,警固および諸雑用にあたる下級の職。徒士衆(かちしゆう),歩走(かちはしり)ともいい,江戸幕府における徒士組の起りといわれる。鎌倉将軍の上洛や出行などの供衆の行列の中に,しばしば〈歩走〉〈歩行衆〉とみえ,すでに鎌倉期の将軍出行に,徒歩で従う警固の士の存在がうかがわれるが,室町期になると幕府職制として成立し,職掌も定まった。将軍の外出に際しては護衛として供奉(ぐぶ)し,つねにその身辺を警戒して狼藉(ろうぜき)者を取り締まる。烏帽子に素襖(すおう)を着し,繻子の脚絆をつけ,股立(ももだち)をとり,太刀をはき,夜には鉄むちを持った。身体強健にして武術に長じた者が選任されたが,伊勢,後藤,佐竹,小串,長,遠山,熊谷,富永などの中級御家人の一族の中から,この役についている者が多い。お供の人数は6名から18名とされ,将軍足利義教が赤松満祐邸で殺されたとき(嘉吉の乱)も,走衆は奮戦しその多くが討死している。
執筆者:二木 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…小侍所には番帳が備えられ,ここから将軍出御の供奉人や弓始の射手などが選ばれた。小侍の配下には,恪勤(かくご),走衆や朝夕雑色(ちようじやくぞうしき),公人(くにん)雑色などが属して雑役などを務めたと考えられる。義教・義政期に整えられる奉公衆(番方)には小侍番の継承発展という性格が認められる。…
※「走衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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