超低温装置(読み)ちょうていおんそうち(その他表記)ultra low temperature apparatus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「超低温装置」の意味・わかりやすい解説

超低温装置
ちょうていおんそうち
ultra low temperature apparatus

特に定義はないが,通常ドライアイス寒剤温度 (約-70℃) 以下液体空気沸点 (約-180℃) までを超低温,それ以下を極低温という。冷凍機は,沸点低く蒸発潜熱の大きい冷媒ガスの圧縮冷却断熱膨張の過程により,必要ならばこれを繰返す多段式とする。冷媒はエタン (-93℃) ,メタン (-164℃) など。フロン類 (沸点-30~-40℃) はよく使われたが,近年オゾン層を破壊するため,使用中止に向っている。異なる冷媒の2系統の装置を組合せ,一方を他系統の冷媒の冷却に使う多元方式もあり,これで液体空気までつくれる。極低温は中間冷却剤に液体空気を用い,多段式でヘリウムを液化して得る。実験室的には,液体ヘリウムをさらに断熱膨張,断熱消磁などで低温とし,0.1K (-273.06℃) 以下の極超低温も得られる。超低温は鋼の深冷処理極地高山・航空で使われる金属材料・繊維・カメラ・計器類などの耐低温試験,血漿の低温乾燥などに用いられる。極低温,特に液体ヘリウム (臨界点約-268℃) 以下の領域は,その温度域での特殊な物性変化 (超流動超伝導など) の研究に用いられ,一部実用にもなっている。たとえば JRで開発中の超高速リニアモーターカーでは,超伝導を利用した強電磁石が使われている (→低温工学 ) 。

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