改訂新版 世界大百科事典 「超数学」の意味・わかりやすい解説
超数学 (ちょうすうがく)
metamathematics
D.ヒルベルトの提唱した形式主義においては,数学の各理論体系は用いられる論理も含めて公理化され記号化される。式,命題,証明はそれぞれ体系内で定められた一定の規則に従う単なる記号の有限列であって,そこに現れる記号(論理記号も含めて)や記号の有限列はすべて〈意味のない〉ものとされ,初めに与えられた法則のみに従って変形されるものとする。このように形式的体系として記号化された数学と,その形式的体系について研究する数学とを厳密に区別しなければならない。後者を超数学と呼ぶ。数学の基礎づけに対するヒルベルトの計画によれば,数学の形式的体系の無矛盾性,すなわち,その体系内で矛盾へと至る証明はないことを,構成的なしかたで証明することがもっとも重要な目標であり,そのためには体系内での証明自体が主たる研究対象となるから,超数学を証明論ともいう。
→数学基礎論
執筆者:柘植 利之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報