日本大百科全書(ニッポニカ) 「身体虚弱児童」の意味・わかりやすい解説
身体虚弱児童
しんたいきょじゃくじどう
虚弱児、病弱児ともよばれるが、医学的な用語ではなく、一般には心身の「弱い子」というイメージで理解されているものである。弱い子といっても相対的なものであり、一般に、(1)やせて、ひょろひょろしている、(2)病気にかかりやすく、また病気になると治りにくい、(3)顔色が悪く、食欲がない、(4)いつもどこか身体の異常を訴える、(5)他人に依存する性質が強い、(6)運動機能が人より遅れている、(7)集中力に乏しく、長続きしない、などの特徴をもっているとされる。
学校教育の立場からは、慢性の疾患、胸部疾患、心臓疾患、腎臓(じんぞう)疾患などがあって長期に医療または生活規制を必要とする児童と、基礎疾患はないが身体虚弱性のために生活規制を必要とする児童を、特別支援学校(病弱)あるいは病弱・身体虚弱特別支援学級の対象としている。ただし、基礎疾患のない身体虚弱児のなかには、基礎疾患があるにもかかわらず発見されない場合もあり、喘息(ぜんそく)、湿疹(しっしん)、じんま疹などのアレルギー疾患、朝の寝起きが悪い、乗り物酔い、立ちくらみなどの自律神経失調症、頭痛、腹痛、嘔吐(おうと)、登校拒否などの精神・心理的障害が複雑に絡み合って虚弱児童をつくりあげている場合もあるので、注意を要する。
したがって、いわゆる弱い子、身体虚弱児童のなかの病気の部分を慎重に分析し、基礎疾患があるのか、体質的なものか、神経症的なものか、などによって個別に対策を講ずることが必要である。
[山口規容子]