転移性脳腫瘍(脳腫瘍各論)
(7)転移性脳腫瘍
転移性脳腫瘍は全脳腫瘍の約15%を占めるが,近年その発生頻度は増加傾向にある.原発巣としては肺癌が半数を占め,ついで乳癌,大腸・直腸癌,胃癌,頭頸部癌,腎癌,子宮癌と続く.約半数の症例では単発性病変,残りは多発性で約10%の症例では5個以上の病変を認める.
好発部位
テント上が75%,残り25%はテント下に発生する.
臨床症状
痙攣発作,比較的急速に進行する局所症状,精神症状をみる.
診断
CT,MRI上,リング状あるいは均一に造影される円形の病変を認め,腫瘍の周囲には著明な浮腫を伴う(図15-14-7).単発性の場合には膠芽腫,多発性の場合には脳膿瘍との鑑別が問題となる.
治療
脳転移が単発性である,原発巣がコントロールされている,ほかの臓器への転移がない,3〜6カ月以上の生命予後が期待できる,血液凝固異常がないなどの条件を満たせば開頭術による腫瘍摘出を行う.一方,多発例などで手術適応のない症例では放射線治療を行うが,病変のサイズが3 cm以下の場合には放射線外科治療が有効である.[新井 一]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
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家庭医学館
「転移性脳腫瘍」の解説
てんいせいのうしゅよう【転移性脳腫瘍】
脳以外に発生したがんが飛び火し、脳にできた腫瘍を、転移性脳腫瘍といいます。
転移するのは、肺がんがもっとも多く、ついで、胃がん、乳がん、直腸がん、頭頸部(とうけいぶ)がんなどの順になっています。これらのがんと比べれば頻度は少ないのですが、絨毛(じゅうもう)がん、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)、腎細胞(じんさいぼう)がんは、脳に転移しやすいものです。
これらのがんが先に発見されていて、後から転移性脳腫瘍が発見されることもありますし、逆のこともあります。
●治療
元のがんが完治し、脳の腫瘍が1つだけであれば、手術をして、摘出します。
手術が不可能なときは、放射線療法を行ないますが、化学療法を併用したほうが効果が高くなります。
最近は、γ(ガンマ)線を腫瘍に集中的に照射するガンマナイフが行なわれるようになり、効果を上げています。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の転移性脳腫瘍の言及
【脳腫瘍】より
…頭蓋内にできる新生物をいう。頭蓋内に原発する原発性脳腫瘍と,そうでない転移性脳腫瘍の二つに大きく分類することができる。脳腫瘍の真の発生原因は不明である。…
※「転移性脳腫瘍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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