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脳膿瘍 のうのうようbrain abscess

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脳膿瘍
のうのうよう
brain abscess

おもに耳鼻咽喉部の化膿性病巣から細菌が侵入して,脳内に膿がたまった状態をいう。発熱,頭痛,けいれん発作,頭蓋内圧亢進症状,片麻痺などの症状がみられる。化学療法を強力に行なって炎症の限局化,被膜形成をはかり,手術で被膜ごと膿瘍を全摘出するという治療が行われている。診断は困難なことが多かったが,CTスキャンが有力な武器となった。

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デジタル大辞泉の解説

のう‐のうよう〔ナウノウヤウ〕【脳×膿瘍】

脳の実質内に細菌が感染して化膿巣を形成し、膿(うみ)がたまる病気。中耳炎心内膜炎などの病巣から運ばれた細菌によることが多く、症状は脳腫瘍(のうしゅよう)に似る。

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家庭医学館の解説

のうのうよう【脳膿瘍】

 脳実質内(のうじっしつない)(脳の中)に細菌が感染して化膿(かのう)し、膿(うみ)のかたまり(膿瘍(のうよう))ができる病気です。
 からだのほかの部位の感染症(中耳炎(ちゅうじえん)、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、気管支炎(きかんしえん)、心内膜炎(しんないまくえん)など)の原因となっている細菌が脳に侵入したり、頭部の傷から細菌が脳に侵入したりしておこりますが、脳に細菌が侵入した原因が見つからないことも少なくありません。
 なお、脳の外側をおおっている硬膜(こうまく)の下に膿がたまった場合を硬膜下膿瘍(こうまくかのうよう)、硬膜の上に膿がたまった場合を硬膜外膿瘍(こうまくがいのうよう)といいます。
●症状
 発熱などの全身の炎症症状のほか、持続性の激しい頭痛や嘔吐(おうと)などの頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状、からだの片側のまひや失語症(しつごしょう)などの脳局所症状、けいれんや意識障害がおこることもあります。
●診断
 全身の炎症症状がはっきり現われていないときは、脳腫瘍との鑑別がむずかしいこともありますが、多くの場合、CTやMRIで診断できます。
●治療
 抗生物質の使用、針を刺して膿を吸引する穿刺吸引(せんしきゅういん)、さらに管を留置して排膿(はいのう)をはかるドレナージなどが行なわれます。
 手術後、長期間の抗けいれん薬の服用が必要になることが多いものです。

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大辞林 第三版の解説

のうのうよう【脳膿瘍】

脳の実質内に細菌・原虫・真菌などの感染でできた化膿巣。中耳炎や副鼻腔炎からの炎症の波及や、体内の化膿病巣から血液循環で病原体が運ばれて生ずるものがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脳膿瘍
のうのうよう

化膿性脳炎の一病型で、細菌が脳実質内に化膿巣を形成して膿を貯留(ちょりゅう)した状態をいい、髄膜炎、硬膜下膿瘍と並ぶ頭蓋(とうがい)内感染症の代表的疾患である。起炎菌は連鎖球菌およびブドウ球菌が多く、最近では嫌気性菌やバクテロイドの増加が知られている。発生原因により〔1〕血行性・転移性脳膿瘍、〔2〕非血行性脳膿瘍、〔3〕原因不明の脳膿瘍、に分類する。なお、血行性・転移性脳膿瘍は肺炎や心内膜炎などの原発巣から血行性に脳内転移したもので、チアノーゼ心奇形に合併したものも含まれる。また、非血行性脳膿瘍は脳への直接あるいは隣接する化膿巣から感染したもので、外傷性脳膿瘍、耳性脳膿瘍、鼻性脳膿瘍などがある。血行性に感染する場合、大脳の灰白質、白質境界部に生じやすい。慢性中耳炎に続発するものでは、小脳や側頭葉に膿瘍をつくりやすい。同時に、硬膜下膿瘍や横静脈洞血栓症などを伴うことがある。副鼻腔炎によるものは前頭洞炎に続発するものが多く、前頭葉下面に膿瘍を生じやすい。[加川瑞夫]

症状・治療

臨床症状は、感染症状、頭蓋内圧亢進(こうしん)症状、脳の巣症状が現れる。局所的炎症が主体の限局性脳炎期では、発熱、頭痛、嘔吐(おうと)、けいれん、白血球増多がみられ、進行すると運動知覚障害や意識障害が出現する。この時期は脳浮腫(ふしゅ)が強く、CTスキャンでは低吸収域と脳室系の偏位が認められる。治療としては、強力な頭蓋内圧下降剤、抗生物質、免疫グロブリンが使われる。また、被膜形成期および完成期では一般的に前記症状が鎮静化され、運動知覚障害などの巣症状(脳の限局した一部の障害によって現れる症状)や頭蓋内圧亢進症状が主体となってくる。まれに化膿巣が脳室内に穿破(せんぱ)して激症を呈するものもある。造影剤を使ってCTスキャンを行うと、膿瘍はリング状の高吸収域に囲まれた低吸収像としてみられる。脳血管撮影でも、膿瘍の被膜に一致した異常血管像を認める。MRI(磁気共鳴映像法)でも同様な所見がみられる。治療として外科的に被膜外全摘出術が行われてきたが、近年とくにCTスキャンの登場以後は穿刺排膿術がおもに行われ、死亡率も10%以下になっている。しかし、チアノーゼ心奇形に合併したものは30%前後の死亡率で、かならずしも予後はよくない。免疫不全を伴うもの、意識障害の強いもの、脳ヘルニアを生じたもの、膿瘍の脳室穿破を合併したものでも、予後は不良である。
 脳膿瘍治癒後は、てんかん発作を残すことがあり、このため、抗けいれん剤の長期投与が必要である。また、中耳炎、副鼻腔(びくう)炎、チアノーゼ心奇形など一次性病変がある場合は、その根治が必要である。[加川瑞夫]

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