日本大百科全書(ニッポニカ) 「輸入割当制」の意味・わかりやすい解説
輸入割当制
ゆにゅうわりあてせい
import quota system
輸入品について、政府が数量(または価格)面から輸入を一定限度内で割り当てる制度。IQ制ともいう。第二次世界大戦後、日本は外貨獲得を第一目標として厳しい輸入割当制をとってきたが、1964年(昭和39)IMF8条国への移行とともに、外国為替(かわせ)の支払面からの輸入制限ができなくなり、価格による輸入割当制度は廃止された。こうして、1962年7月以降はいわゆるネガティブリスト方式(IQ品目表を掲げ、その他は自由化された品目であると発表する方式)により公表されることになった。これを輸入公表import noticeといい、この公表により輸入割当品目と規定された品目を輸入する場合は、経済産業大臣に申請して輸入割当を取得したのちでなければ、為替銀行から輸入承認を申請できない。輸入割当には〔1〕純粋商社割当といい、輸入者の(1)通関実績(数量または金額)、(2)割当実績(数量または金額)に案分して割り当てる方式と、(3)オリンピック方式(輸入枠まで先着順に割り当てる方式)と、〔2〕内示書方式(所定の割当基準によって算定された発注または受注限度の内示書→特定の有資格の需要者→輸入業者→割当申請)と、〔3〕発注書方式(一般または特定の需要者から発注を受けた輸入業者に割当をする方式)がある。いずれの場合も、輸入割当が決定されると、輸入割当申請書を提出することになるが、その申請書の1通が輸入割当証明書として、申請者に交付される。
[鳥谷剛三]
2008年(平成20)3月現在、輸入割当となっている品目は、非自由化品目の水産物(ホタテガイ、食用海草など)と、モントリオール議定書附属書に定める規制物質(フロンなど)である。
[編集部]