連携中枢都市圏(読み)れんけいちゅうすうとしけん

共同通信ニュース用語解説 「連携中枢都市圏」の解説

連携中枢都市圏

地方人口減少を食い止めるため、中心市と周辺市町村が協約を結び活性化に取り組む仕組み。中心市の要件は、人口20万人以上のほか、東京、大阪、名古屋の三大都市圏以外にあり、昼間の人口が夜間を上回ること。総務省の「地方中枢拠点都市圏」が前身で、政府の人口減少克服に向けた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取りまとめに当たり、国土交通省などの類似事業と統合された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連携中枢都市圏」の意味・わかりやすい解説

連携中枢都市圏
れんけいちゅうすうとしけん

地域の拠点である中心市(人口20万人以上)を中核にして、周辺自治体と地域活性化や、一定の圏域人口を有し活力ある社会経済の維持を目ざす地域圏構想。政府が2014年(平成26)12月に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に盛り込まれ、2015年度から政府の圏域選定と財政支援が始まった。中心市と近隣市町村が地方自治法第252条の2第1項に基づく連携協約を結び、中心市を中心に教育、医療、福祉などの行政サービスを効率よく提供し、産業振興を進め、雇用の場を創出する構想である。日本の人口減少が続くなか、交通や通信ネットワークが充実したコンパクトな地域圏を創出することで、三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)への人口流出を防ぐねらいがある。第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が掲げる人口減少克服に向けた地方創生策の一つである。連携中枢都市圏では、医療と介護を一体的に住民に提供する「地域包括ケアシステム」、広域観光振興、路線バスの循環運行、図書館の相互利用などの事業に取り組む。政府は圏域人口が政令指定都市なみの75万人に達した場合、(1)行政サービス負担が重くなる中心市に普通交付税を年間約2億円増額する、(2)周辺市町村の事業には1自治体当り1500万円を上限特別交付税を配分する、(3)圏域外から専門家を確保する費用として700万円を上限に特別交付税を配分するなどの財政支援で、都市圏づくりを後押しする。

 従来、総務省の「地方中枢拠点都市圏」、国土交通省の「高次地方都市連合」、経済産業省の「都市雇用圏」など省庁ごとにばらばらの地域圏の概念が存在した。政府は2014年12月の閣議決定で、各地域圏構想を連携中枢都市圏に統一。2014年度に全国9地域でモデル事業を始め、2015年度には新潟市、金沢市、岡山市などを中心市とする12の連携中枢都市圏を選定した。政府は2020年度までに連携中枢都市圏を全国30か所に増やす計画である。2016年4月時点で、全国61市が中心市となる条件を満たしている。

[矢野 武 2016年7月19日]

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