モリブデンのもっとも重要な鉱石鉱物。六方型・三方型の2種類の多型が知られている。酸性深成岩中の高温ないし気成鉱脈鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、変成層状マンガン鉱床中などに産し、タングステン、スズ、ビスマス(蒼鉛(そうえん))の鉱物、硫化鉱物などとともに石英脈中、スカルン中に出現する。自形は六角板状であるが、微細結晶からなる、いわゆる土壌輝水鉛鉱もある。ただしその一部はMoCSという形の化合物であるらしいことが判明している。また、少量のCu(銅)やFe(鉄)を含む輝水鉛鉱類似相もある。低硬度、劈開(へきかい)などが特徴。非晶質MoS2はヨルディス鉱Jordisiteとよばれる別鉱物。
[加藤 昭]
molybdenite
化学組成MoS2の鉱物。単位格子中2分子含む六方晶系,空間群P63/mmc, 格子定数a0.3161nm, c1.230(輝水鉛鉱-2H)と,単位格子中3分子含む三方晶系,空間群R3m, 格子定数ahex0.3163nm, chex1.838(輝水鉛鉱-3R)の二つのポリタイプがある。3R単独での産出はまれで,多くは2Hとの混合物。鉛灰色,六角板状,短柱状結晶で水平な条線,通常葉片状・鱗片状。劈開{0001}完全,撓
執筆者:青木 義和・中牟田 義博
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
化学組成はMoS2の鉱物で,六方晶系に属し,六角板状または単柱状に結晶するが,ふつう塊状または鱗片(りんぺん)状をなす。{0001}に完全なへき開がある。Moの層が2枚のS層にはさまれているサンドイッチ状の構成単位が,層状に積みかさねられた結晶構造をもっている。層内の結合にくらべて3層構成単位間の結合力がだんぜん弱いことが,へき開の原因である。鉛灰色,金属光沢をもつ。比重4.7,モース硬度1~1.5で軟らかく,紙に緑灰色の条痕を残す。唯一のモリブデン鉱石として採掘利用される。酸性深成~半深成岩体と成因的に関係が深く,その中のペグマタイト~気成脈にスズ,タングステン鉱物とともに産出したり,岩体周辺の接触変成帯にスカルン鉱物とともに産出したりする。日本では,岐阜県恵比寿鉱山,平瀬鉱山が前者に属し,岩手県大川目鉱山が後者に属する例である。斑岩銅鉱床porphyry copper deposit中に産出するものは量的にまとまっており,資源として重要である。
執筆者:青木 正博
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