日本大百科全書(ニッポニカ) 「都市計画審議会」の意味・わかりやすい解説
都市計画審議会
としけいかくしんぎかい
日本の地方自治体に設置される審議会。略称は都計審。都市計画法(第77条の2、87条の2)と各自治体の条例に基づいて設置される法定附属機関であり、無秩序な都市開発を抑え、計画的で安全な都市づくりをチェックする機能を担っている。市街化区域と市街化調整区域の線引きなどの都市計画区域、将来的に都市化が見込まれる準都市計画区域、市街化区域内の住居や商業などの用途地域、都市部で農業を続けていく生産緑地、建物の高さを制限する高度地区、良好な景観を保全する景観地区、自然的景観を維持する風致地区、伝統的建造物群保存地区などの決定・変更のほか、公園、幹線道路、下水道、廃棄物処理場の整備などの決定・変更についても調査・審議する。都市計画は都市の将来の姿を左右するだけでなく、都市内を線引きして利活用法を決めるため、住民や企業の権利や利害を調整して検討する必要があり、都市計画の決定前に、都市計画審議会で調査・審議するよう義務づけられている。大災害後の住居移転などについても都市計画審議会の調査・審議が必要になるほか、最近では都市の人口減少を踏まえ、都市機能の中心部への集約などが議論されることが多い。審議会には定員があり、学識経験者、自治体の議会議員、行政機関関係者、住民代表らで構成される。
1919年(大正8)制定の旧都市計画法で旧内務省の審議会として発足し、内務大臣が都市計画を決める際の審議機関であった。第二次世界大戦後、内務省解体で建設省(現、国土交通省)へ所管が移り、1968年(昭和43)の新都市計画法で、決定権限が原則国から地方へ移ったものの、重要事項を審議する国の機関も必要との考えから、都市計画中央審議会(建設省の附属機関)、都市計画地方審議会(都道府県に設置)、市町村審議会が並列する時代が続いた。中央省庁再編と地方分権推進のため、2000年(平成12)の都市計画法改正で、都道府県に加えて政令指定都市に都市計画審議会の設置が義務づけられ、市町村も任意の条例で法定附属機関として設置できるようになった。なお都市計画中央審議会は、住宅、建築、道路、河川などの審議会と統合し社会資本整備審議会となった。
[矢野 武 2018年10月19日]