都市霧
としぎり
都市域にできる霧。できる仕組みからみると放射霧、前線霧などである。都市では燃焼の過程などでできる硫黄(いおう)酸化物などや粉塵(ふんじん)が霧粒の芯(しん)となるので、空気のきれいな田舎(いなか)に比べて霧ができやすく、また濃くなりやすく、いったん発生すると長続きしやすいなどの特徴がある。都市霧は煙と混じっていることがあり、この場合スモッグともいう。
[大田正次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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都市霧
としぎり
city fog; smog
工場,住宅,自動車などから排出される煤煙やガスなど微粒子が核となって発生する霧。都市霧は元来,夜間放射のために地上が冷却したとき発生する放射霧の一種であるが,煤煙の微粒子が含まれているところから煤煙 smokeと霧 fogの語を合成してスモッグとも呼ばれる。都市霧の発生が冬季に多いのは,地面の冷却によって逆転層が発生し,汚染物質が地面付近に滞留しやすいこと,暖房などによる煤煙が多くなることによる。古くからロンドンは霧の都として有名で,この都市霧によって 1952年12月に死者 4000人を出したことがある。しかし,石炭の使用を厳禁するなど煤煙を規制したため,今日ではその発生はほとんどみられない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の都市霧の言及
【霧】より
…(d)盆地霧 盆地内は比較的大気が安定しており,地面の放射冷却によって霧が生じたり,山腹の放射冷却による冷たい重い空気が入りこんで霧が発生する。(e)都市霧 都市内や工場周辺では煙や粉塵が多く,これが凝結核になって霧が発生しやすい。(f)沿岸霧 海岸や湖岸地域に発生する霧。…
※「都市霧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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