酒皶(読み)シュサ

デジタル大辞泉 「酒皶」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐さ【酒×皶/酒×皻】

鼻が赤くなる病的状態。毛細血管が拡張して赤くみえる赤鼻程度のものから、紅色丘疹きゅうしん膿疱のうほうが毛穴にできる酒皶性痤瘡ざそう、さらにこぶのようにはれた鼻瘤腫びりゅうしゅざくろ鼻)などがある。

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食の医学館 「酒皶」の解説

しゅさ【酒皶】

《どんな病気か?》


〈くわしい原因は不明。熱いものや刺激物を避ける〉
 酒皶(しゅさ)とは、鼻の頭やほお、ひたいの毛細血管(もうさいけっかん)が拡張して皮膚が赤くなる病気で、俗に赤ら顔、赤鼻(あかはな)などと呼ばれています。
 初期には、この赤みはでたり消えたりしますが、そのうち消えずに残り、にきびみみずばれに似て見えるようになります。
 赤ら顔は酒の飲みすぎのせいと思われがちですが、それが直接の原因ではなく、くわしい原因は不明です。

《関連する食品》


〈ビタミンB群が有効だが、ナイアシンを含む食品は除く〉
○栄養成分としての働きから
 アルコールや熱い飲みものなど、一般的に飲食すると皮膚が赤くなるような食品は、酒皶の赤みも増すことが多く、避けたほうが無難です。
 トウガラシなど辛いスパイスもひかえます。
 このほか、アレルギー反応を起こす化学伝達物質ヒスタミンの分泌(ぶんぴつ)をうながすトマト、ホウレンソウ、チーズ、ヨーグルト、チョコレートなどの食品も、人によっては誘因となる場合があります。
 食物アレルギーが原因の1つとなる場合もあるため、食事日記をつけ、どの食品を食べたあとに悪化するかを調べるのもいいでしょう。
 酒皶にはビタミンB群、なかでもB2が効果を発揮するという研究もあります。ただし、B群の仲間であるナイアシンには、血管を拡張させ、血液循環をよくする働きがあり、赤みの原因となるので避けましょう。
 レバーや、サバブリなどの魚にはビタミンB2が豊富に含まれていますが、ナイアシンも多く含まれるのでひかえ、納豆アーモンドマッシュルームなどでB2をとるようにしましょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒皶」の意味・わかりやすい解説

酒皶
しゅさ

俗に赤鼻といわれるもので、中年以降の女性に多くみられる慢性皮膚疾患である。顔面とくに鼻、頬(ほお)、下あご、額などの毛細血管が拡張し、顔面皮脂腺(せん)の分泌が亢進(こうしん)し、痤瘡(ざそう)(にきび)様発疹(ほっしん)がこれに加わる。したがって、赤ら顔で皮膚表面が油性光沢を呈している場合が多い。ときに角膜炎、眼瞼(がんけん)炎などの眼症状を伴う。酒皶はその程度により3度に分類される。第1度は顔面の脂漏と毛細血管拡張を伴った紅斑(こうはん)がみられ、紅斑性酒皶という。第2度はさらに毛穴に一致して丘疹や膿疱(のうほう)などを発するもので、酒皶性痤瘡という。第3度は結合組織の増殖が加わったもので、多くは鼻背下部から鼻尖(びせん)、鼻翼にかけて凹凸不整の腫瘤(しゅりゅう)を生じたもので、鼻瘤という。これは男性に多くみられ、日本人ではまれである。最近中年以降の女性に多くみられる酒皶様皮膚炎、口囲皮膚炎などは、一見酒皶様痤瘡と類似した臨床所見を呈するが、これらは副腎(ふくじん)皮質ホルモン外用剤(とくに構造式内にハロゲンを含有する製剤)の長期使用により生じたステロイド皮膚炎であって、酒皶とは本質的に異なった疾患である。

 誘因としては、香辛料、アルコール、高温の食物、たばこ、外界気温の変動、精神的緊張、消化器障害、毛嚢(もうのう)虫の寄生などがあげられる。治療は、1~2度のものでは誘因を避け、痤瘡に準じた治療を根気よく行う。第3度の鼻瘤では、軽度のものには削皮(さくひ)術、中等度のものには腫瘤切除および遊離植皮術を行う。

[池田重雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「酒皶」の意味・わかりやすい解説

酒皶 (しゅさ)
rosacea

酒焼けともいう。顔面の皮膚の脂肪分泌が増加し,血管が拡張して炎症を起こすもので,その症状によって第1~3度に分けられる。第1度では鼻の先が赤くなり,ほおも全体的に赤くなって光沢をおび,皮膚表面に細かい血管の拡張がみられる。この状態を赤鼻ともいう。第2度になると酒皶性痤瘡(ざそう)ともいい,鼻,ほお,額,おとがいなどに赤い丘疹が多数生じ,膿疱もまじってくる。自覚症状としては灼熱感があるがかゆみはさほど強くない。第3度は鼻の先に塊のできた状態を指し,鼻瘤ともいわれるが日本人には少ない。角膜炎,結膜炎,虹彩炎など眼の異常を伴うことがある。鼻の病気のある人に起こりやすいともいわれる。酒焼けともいわれるように,飲酒との関係が強調されているが,酒を飲まない人に起こることもあって必須条件ではない。胃腸障害や内分泌も関係しているらしい。ビタミンBの欠乏という説も以前は強かった。毛包内に寄生したニキビダニも一役買っているらしい。治療には,ビタミンB複合体の内服とアルコール飲料や刺激性食物を避けること。硫黄の入った外用剤などが用いられる。
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