俗に赤鼻といわれるもので、中年以降の女性に多くみられる慢性皮膚疾患である。顔面とくに鼻、頬(ほお)、下あご、額などの毛細血管が拡張し、顔面皮脂腺(せん)の分泌が亢進(こうしん)し、痤瘡(ざそう)(にきび)様発疹(ほっしん)がこれに加わる。したがって、赤ら顔で皮膚表面が油性光沢を呈している場合が多い。ときに角膜炎、眼瞼(がんけん)炎などの眼症状を伴う。酒皶はその程度により3度に分類される。第1度は顔面の脂漏と毛細血管拡張を伴った紅斑(こうはん)がみられ、紅斑性酒皶という。第2度はさらに毛穴に一致して丘疹や膿疱(のうほう)などを発するもので、酒皶性痤瘡という。第3度は結合組織の増殖が加わったもので、多くは鼻背下部から鼻尖(びせん)、鼻翼にかけて凹凸不整の腫瘤(しゅりゅう)を生じたもので、鼻瘤という。これは男性に多くみられ、日本人ではまれである。最近中年以降の女性に多くみられる酒皶様皮膚炎、口囲皮膚炎などは、一見酒皶様痤瘡と類似した臨床所見を呈するが、これらは副腎(ふくじん)皮質ホルモン外用剤(とくに構造式内にハロゲンを含有する製剤)の長期使用により生じたステロイド皮膚炎であって、酒皶とは本質的に異なった疾患である。
誘因としては、香辛料、アルコール、高温の食物、たばこ、外界気温の変動、精神的緊張、消化器障害、毛嚢(もうのう)虫の寄生などがあげられる。治療は、1~2度のものでは誘因を避け、痤瘡に準じた治療を根気よく行う。第3度の鼻瘤では、軽度のものには削皮(さくひ)術、中等度のものには腫瘤切除および遊離植皮術を行う。
[池田重雄]
酒焼けともいう。顔面の皮膚の脂肪分泌が増加し,血管が拡張して炎症を起こすもので,その症状によって第1~3度に分けられる。第1度では鼻の先が赤くなり,ほおも全体的に赤くなって光沢をおび,皮膚表面に細かい血管の拡張がみられる。この状態を赤鼻ともいう。第2度になると酒皶性痤瘡(ざそう)ともいい,鼻,ほお,額,おとがいなどに赤い丘疹が多数生じ,膿疱もまじってくる。自覚症状としては灼熱感があるがかゆみはさほど強くない。第3度は鼻の先に塊のできた状態を指し,鼻瘤ともいわれるが日本人には少ない。角膜炎,結膜炎,虹彩炎など眼の異常を伴うことがある。鼻の病気のある人に起こりやすいともいわれる。酒焼けともいわれるように,飲酒との関係が強調されているが,酒を飲まない人に起こることもあって必須条件ではない。胃腸障害や内分泌も関係しているらしい。ビタミンBの欠乏という説も以前は強かった。毛包内に寄生したニキビダニも一役買っているらしい。治療には,ビタミンB複合体の内服とアルコール飲料や刺激性食物を避けること。硫黄の入った外用剤などが用いられる。
執筆者:肥田野 信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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