酒石酸水素カリウム(読み)しゅせきさんすいそカリウム

精選版 日本国語大辞典 「酒石酸水素カリウム」の意味・読み・例文・類語

しゅせきさん‐すいそカリウム【酒石酸水素カリウム】

〘名〙 (カリウムKalium) ぶどう酒醸造過程で発酵液から沈殿して得られる固形物。化学式 HO2CCH(OH)CH(OH)CO2K これを精製したものを酒石英という。重酒石酸カリウム。酸性酒石酸カリウム。

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化学辞典 第2版 「酒石酸水素カリウム」の解説

酒石酸水素カリウム
シュセキサンスイソカリウム
potassium hydrogen tartrate

KHC4H4O6(188.18).IUPAC規則では認められない慣用名.正式名称は(2,3-ジヒドロキシブタン二酸)水素カリウム(potassium hydrogen 2,3-dihydroxybutanedioate).旧名,重酒石酸カリウム,または酸性酒石酸カリウム.また,酒石,酒石英とよばれることもある.ぶどう酒の醸造で,発酵が進んでアルコール分が増えると沈殿(wine leesまたはargolsという)を生じる.これから酒石(tartar)が得られるが,さらにこれを精製して酒石英(cream of tartar)が得られる.前者は80% 以上の,後者は98% 以上の酒石酸水素カリウムを含む.DL-,D-,L-,メソ塩がある.各塩は,それぞれの型の酒石酸の水溶液に,かきまぜながら計算量のKOHまたはK2CO3を加えて反応させ,結晶を析出させる.酒石酸イオンは,一方の端は-COOH,他端は-COOで,結晶中でイオンは互いに水素結合O…H…Oでつながっている.DL-塩は単斜晶系の柱状結晶.密度1.954 g cm-3.水に微溶,無機酸水溶液に易溶.空気中で100 ℃ に加熱しても安定である.D-およびL-塩は斜方晶系で,密度1.984 g cm-3.水に可溶.L-塩は,強い摩擦ルミネセンスがあり,高い圧電率を示す.メソ塩は,三斜晶系無色針状結晶で,冷水にもかなり易溶.ベーキングパウダー,医薬品(緩下剤利尿剤),食品加工用,めっき用融剤ウール染色媒染剤,革なめしなどに用いられる.[CAS 868-14-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「酒石酸水素カリウム」の解説

酒石酸水素カリウム

 →クリームターター

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