野ばら(読み)ノバラ

デジタル大辞泉 「野ばら」の意味・読み・例文・類語

のばら【野ばら】[作品名]

原題、〈ドイツHeidenröslein
ゲーテの詩。シューベルトウェルナーをはじめ、多く作曲家によって曲がつけられている。
シューベルト歌曲。1815年頃の作曲。に基づく。「魔王」とともに作者10代の頃の傑作として知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野ばら」の意味・わかりやすい解説

野ばら
のばら
Heidenröslein

シューベルトが1815年、18歳のときに、ゲーテの詩に基づいて作曲した三節からなる愛らしい歌曲(D257)。少年が荒野に咲く一輪の赤いバラをみつけ、花を摘もうとする。バラは刺(とげ)で身を守ろうとするが、哀れにも男の子に手折られてしまう。モーツァルトの歌曲で有名な『すみれ』にも似た素朴な内容をもつこの歌詞を、シューベルトは単純な有節歌曲(同じ旋律を繰り返して歌う)として作曲した。なお同じ詩につけられたウェルナーHeinrich Werner(1800―33)の合唱曲(1829)も広く愛唱され、またM・ハウプトマンMoritz Hauptmann(1792―1868)やローベルト・シューマンも民謡風の音楽を作曲している。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「野ばら」の解説

野ばら〔ウェルナー〕

①ドイツの作曲家ハインリッヒ・ウェルナーの歌曲(1829)。原題《Das Heidenröslein》。フランツ・シューベルトの同名の歌曲D257(1815)と同じく、ゲーテの原詩に基づく。
日本唱歌題名訳詞近藤朔風。発表年は1909年。

野ばら〔シューベルト〕

オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトの歌曲D257(1815)。原題《Das Heidenröslein》。ゲーテの原詩に基づく。『魔王』とともに、シューベルト初期の傑作として知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野ばら」の意味・わかりやすい解説

野ばら
のばら
Heidenröslein

民謡的な可憐さをもつゲーテの詩。この詩に F.シューベルトの付曲した有節形式の歌曲 (1815) ,H.ウェルナーの作曲による合唱曲 (29出版) ,R.シューマンの作曲による合唱曲 (49) などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の野ばらの言及

【シューベルト】より

…16歳の変声と共に神学校を去り,教員養成課程に進み,父の学校の助手として働きながら作曲を続けた。17歳のときに《交響曲第1番》ニ長調を,そして《糸を紡ぐグレートヘン》を,さらに翌1814年,《野ばら》《魔王》《たゆみなき愛》等のリートの名作を作り,歌曲作曲家としての将来を決定づけた。友人の勧めでゲーテの詩によるリートをゲーテに送って無視されたのもこの時期である。…

※「野ばら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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