野外活動(読み)やがいかつどう

改訂新版 世界大百科事典 「野外活動」の意味・わかりやすい解説

野外活動 (やがいかつどう)

都市生活が多くなった人々が自然に帰って野外で行う各種の活動の総称。自然の中で生活することによって,自然の変化や動植物生態を学び,自然保護についての理解を深める。また学校をはなれて,共同生活の中で人間の相互理解を通じて多くのものを学ぶ教育を野外教育と呼んでいる。野外活動が生活の必要性からはなれ,教育やレクリエーションの目的で行われるようになるのは19世紀後半からで,イギリスに始まるYMCAボーイ・スカウトの運動,ドイツに始まるワンダーフォーゲルユース・ホステルの運動などがこうした野外活動の普及・発展に貢献した。野外活動の内容は多岐にわたり,狭義にはキャンピングを中心とする活動を称することもあるが,広義には陸上で行われる登山ハイキングピクニックサイクリング,ワンダーフォーゲルなど,水上で行われる水泳,釣り,ボートヨットカヌーなど,雪上で行われるスキースケートなどが含まれるであろう。1961年に施行されたスポーツ振興法の第10条にも,野外活動の普及奨励が述べられている。なお,詳細についてはそれぞれの項目を参照されたい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野外活動」の意味・わかりやすい解説

野外活動
やがいかつどう

豊かな自然環境のなかで、規律ある共同生活や、キャンプ、ハイキング、サイクリング、オリエンテーリング、スキー、スケート、登山、水泳、植物・昆虫採集農作業などの各種の活動を集団で行うこと。主として青少年を対象に、学校や社会教育団体が計画、実施するものをいう。林間学校臨海学校もこの一種と考えられる。修学旅行の日程のなかにこれを組み入れる学校の例なども増えている。野外活動には、青少年の心身を鍛錬し、集団精神を培うなどの、多くの教育的価値が認められる。ことに、都市化の進展に伴って、都会地から急速に自然が失われつつある日本の社会の現状を考えると、青少年が自然に触れて清新の気を養うことは、そのことだけでもきわめて有意義である。ただ、野外活動には危険が伴いがちなので、適切な事前計画や、指導者に人を得ることなどは欠かせない条件だといえよう。

[井上治郎]

『栗田一良他著『野外学習活動の計画と実際』(1984・明治図書出版)』

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