山麓や高原などにおいて,保養,身体訓練,レクリエーションなどのために設けられる学校施設。夏期一定期間に限ってキャンプ生活をする場合には,学校キャンプと呼ぶこともある。臨海学校に比べて歴史は新しい。当初はおもに虚弱児の保養と健康回復のための施設として設けられた。1905年東京市の精華小学校が群馬県妙義山麓に設けた休暇集落がその最初といわれる。17年には社団法人白十字会が神奈川県茅ヶ崎海岸に最初の虚弱児保養常設施設として茅ヶ崎林間学校を設立し,以後小児結核予防運動の一環としてしだいに各地に設けられ,38年には公私立16施設に達した。他方,第1次大戦前後から,学校保健への注目や豊かな自然環境における子どもの成長をめざす新教育運動の影響により,都市部の小学校,高等女学校などで健常児童・生徒をも対象とした夏休み中の林間学校が設置され始めた。第2次大戦後の1950年代以降は,都市部を中心とした多くの小学校,中学校,高校などで,全児童・生徒を対象とする夏期の恒例的な行事として普及するようになった。結核病の減少により常設的な虚弱児保養施設の需要が少なくなり,それらが健常児のレクリエーション施設に転用される例もみられるようになった。また,勤労体験学習やボランティア活動の要素を含んだ行事が計画されることも少なくない。
執筆者:佐藤 秀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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