海水浴や保養のために海岸において開催・設置される学校施設。海水浴を目的としたものの最初は,1891年学習院が男生徒を対象に鎌倉片瀬海岸で実施した遊泳演習とされる。その後,日清・日露両戦争を契機に,海外進出をねらいとした海国思想や海事教育が重視されるとともに,水泳が男子中等学校における課外体育活動の一つとして採用された。その場合,校内にプールを設備した学校はきわめて少なかったため,海辺や河岸に近接した学校以外は,海水浴場において合宿訓練をしなければならなかった。これがとくに臨海学校を必要とした理由である。大正中期以後は女性の海水浴が社会的に容認されるようになって,臨海学校は高等女学校や女子師範学校でも採用され,やがて小学校にも波及することとなった。臨海学校という通称は,それが普及しはじめた大正末・昭和戦前期以降定着した。水泳が体育の種目に導入され学校プールが必備となり,また家族・友人単位での海水浴が一般化し,臨海学校は水泳訓練とともに,レクリエーションもしくは親睦の行事としての色合いを濃くしている。
また,虚弱児の保養・健康回復を目的に,オゾンや紫外線に恵まれた海浜での長期療養施設が,明治期後半から一部の地域の学校で実施されるようになった。1917年白十字会の茅ヶ崎林間学校はその最初の常設施設である。これらも臨海学校と呼ばれている。
→林間学校
執筆者:佐藤 秀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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