デジタル大辞泉
「量子色力学」の意味・読み・例文・類語
りょうしいろ‐りきがく〔リヤウシいろ‐〕【量子色力学】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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量子色力学
りょうしいろりきがく
quantum chromodynamics
クォークから強い相互作用をする粒子 (→ハドロン ) を構成し,その力学を記述するために提唱されたくりこみ可能な場の理論。 QCDと略称される。色と名づけられた量子数 (赤,青,緑) を導入し,異なる色をもつ3組のクォークが存在すると仮定する。電荷に作用する電磁場から類推して,色に作用する力の場がゲージ理論の枠組みで導入される。このとき現れるゲージボソンをグルーオンといい8種類存在する。グルーオン間にも相互作用があることが特徴である。グルーオン交換による力がクォークと反クォークを結びつけて中間子を形成し,3体のクォークを結合してバリオンをつくるとみなされる。色に作用する力は電磁気力と著しく異なる性質をもち,クォーク間に交換されるエネルギーや運動量が大きくなるとクォークの結合がゆるやかになる。この力の性質は漸近的自由と呼ばれ,高エネルギーのハドロン散乱実験の特徴をよく説明する。さらにこの理論にはクォークやグルーオンは単独に存在できないという色の閉じ込めの性質を持っていると期待されているが,完全な証明はない。量子色力学とワインバーグ=サラムの理論とを組合せたものが素粒子の標準理論といわれている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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量子色力学【りょうしいろりきがく】
QCD(quantum chromodynamics)とも。素粒子の強い相互作用(相互作用)の理論。量子色力学によればクォークは色(color)とよばれる自由度をもつが,グルーオンがこの色の間に作用し,グルーオンを媒介として力が働くとして強い相互作用を説明する。
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知恵蔵
「量子色力学」の解説
量子色力学
強い力の理論。クオークが3つ集まって陽子や中性子をつくっていることなどをうまく説明する。各クオークがもてる自由度の比喩として「赤」「青」「緑」という3つの「色」を考える。陽子や中性子は、3「色」が混ざり合い、「白」になって安定している。クオーク間には「色」の場があり、それを担うのがグルーオン(糊の粒子)。グルーオン自身も「色」をもつ。クオークはグルーオンをやりとりし、「色」を変えながら結びつく。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の量子色力学の言及
【素粒子】より
…そして観測にかかるのは白色,すなわちハドロンだけであると仮定すれば,クォークが単独では外に出てこないことの説明がつくのである。この目的にかなう理論が量子色力学と呼ばれるもので,クォークどうしは,カラーをもったグルオン(膠着子)と呼ばれる粒子を交換することによって生ずる強い力で結びついていると考えられている。
【ワインバーグ=サラムの理論とW±,Z粒子】
いままで主として強い相互作用について述べてきたが,最後に弱い相互作用と電磁相互作用について考えてみよう。…
※「量子色力学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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