切り飴(あめ)の一種。丸い棒状のさらし飴で、どこを切っても断面に金太郎の顔が現れるように細工したもの。江戸時代中期から売られていた。製法は、まず金太郎の顔を組み立てる飴(肉板)を用意し、顔の色を出すのに赤飴、頭髪や眉毛(まゆげ)、目の部分にはココアやカラメル(昔は墨を用いていた)を混ぜた飴を用意する。肉板の上にあご、口、両頬(ほお)、鼻、目、眉毛、額、頭髪の部分となる飴を順に積み重ね、肉板で周りをくるむ。これを長く引き伸ばし、包丁で切りそろえればできあがる。飴の柔らかいうちに手早く作業するが、すべて手仕事であるから顔の表情は飴の1本ごとに異なるところがおもしろい。市(いち)の日や縁日、祭礼には、「飴の中から金太さんが出たよ」の売り声が子供の人気をさらってきた。東京・台東(たいとう)区根岸に、老舗(しにせ)の金太郎飴本店がある。
[沢 史生]
…江戸や豊前小倉で名物とされた三官あめ,いまは七五三の祝いのつき物となった千歳あめも白あめで,後者は元禄・宝永(1688‐1711)ごろ江戸浅草の七兵衛なる者が売り歩いたと柳亭種彦は書いている。まるい棒状のあめのどこを切っても金太郎の顔が現れる金太郎あめは,縁日の夜店などで人気があった。白あめを色とりどりに染めて目,口,鼻,眉毛などにして組み合わせ,かたく密着させて長く引きのばしたものである。…
※「金太郎飴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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