デンプン糖に分類される甘味料の一種で、粘稠(ねんちゅう)性のある液状のもの。飴は水飴と固飴(かたあめ)に大別され、歴史的には水飴のほうが古い。水飴は奈良時代からつくられていたようで、米を主材料に大麦、小麦、米などのもやしを加えて糖化させている。『和漢三才図会(ずえ)』(1712成立)にも、水飴の糖化に麦もやしや穀芽を用いることが記されている。麦芽が水飴製法の主力となったのはさらに後年のことである。これらのもやし類や麦芽には、デンプンをマルトースやグルコースに分解するアミラーゼという酵素が含まれている。水飴は単なる甘味料ではなく、平安時代には薬用として貴重品であった。
[河野友美]
現在、水飴はデンプン(サツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシなど)を主材料にし、糖化法から酸糖化飴と酵素糖化飴の2種に分けられる。酸糖化飴はシュウ酸や塩酸でデンプンを酸分解するもので、一般に水飴とよんでいるものは酸糖化飴が多い。酵素糖化飴はデンプン分解酵素を利用したもので、麦芽を用いた従来の麦芽飴と、酵素剤を用いたもの(ハイマルトースシラップともいう)がある。糖化の方法や程度によって水飴の成分(グルコース、マルトース、デキストリンなど)組成が変化する。糖化の程度はDE(dextrose equivalent)という指標が国際的に用いられ、水飴の固型分に含まれる還元糖(グルコースとして)の含有量(%)で表される。麦芽水飴は特有の風味があり、金沢の「じろ飴」が名産となっている。
[河野友美]
キャンデー類の原料やジャム、アイスクリームなどの食品加工や飴煮(あめに)、佃煮(つくだに)などの料理に用いる。砂糖よりも保水性があり、つや出しやしっとりした食感をもたせるのに効果的である。
[河野友美]
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…古くは餳,糖などの字も用いられ,《延喜式》には諸国から貢納されていたこと,平安京の西市に〈糖〉があって市販されていたこと,また,もち米1石,萌小麦(コムギのもやし)2斗を原料として糖3斗7升をつくったことなどが書かれている。当時のあめは液状の汁あめ(湿飴(しるあめ)とも),つまり水あめで,のちにこれを加工して種々のあめをつくるようになった。室町期には〈砂糖飴〉の語が見られるようになり,また,あめの行商人も現れた。…
※「水飴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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