金属の精製(読み)きんぞくのせいせい(その他表記)refining of metal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金属の精製」の意味・わかりやすい解説

金属の精製
きんぞくのせいせい
refining of metal

製錬で得られた金属をさらに高純度に精製する方法。技法としては,以下の諸法があり,これらを単独または組合せて用いる。 (1) 電気分解 最も広く行われる方法で,粗金属を陽極とし陰極に精製金属を析出させる。電解液中の雑イオンの混入のため精製純度に限界がある。 (2) 蒸留 亜鉛水銀の精製に用いられ,繰返し蒸留によりかなりの高純度が得られる。シリコンチタンジルコニウムなどは塩化物を繰返し蒸留し,塩化物を高純度化してから還元して純粋な金属を得ている。 (3) 熱解離 鉄,ニッケルのカーボニル精製がその例で,相当の高純度に達する (→カーボニル鉄 ) 。 (4) 化学処理 湿式化学操作による方法で,金の硝酸分金法がその例であるが,一般にコストが高く非能率なので工業的にはあまり用いられない。 (5) 還元 電気炉中で水素還元またはテルミット法で金属を還元する方法。電磁用純鉄の製造に用いられる。 (6) 真空溶解 真空中または低圧の不活性ガス気圏中で金属を溶解し,不純物の解離と脱ガスを促進するもの。加熱炉の形式も適用金属も種類が多く,工業的応用が拡大している。 (7) ゾーンメルティング 液相固相の不純物溶解度の差を利用して精製する方法で,近年非常に発達した。ほとんどあらゆる金属に適用でき,工業的にはシリコン,ゲルマニウムなどの半導体の精製に用いられている。精製純度は最も高い。

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