砂糖菓子の一種。白砂糖を練り、鯛(たい)、鯉(こい)、松竹梅など有平糖(あるへいとう)の細工物をまねて、あわせ木型の彫りに流し、有平糖のものそっくりに筆や刷毛(はけ)で彩色した。内部は空洞であるが、大きなものは豪華にみえる。幕末に上方(かみがた)でつくられ、嘉永(かえい)年間(1848~54)江戸にも普及したが、床見世(とこみせ)というにわか作りの板小屋での商い、または振売りの商う菓子であった。しかし庶民の式事の飾り物には、祝い鯛や野菜物を模した金花糖が使われている。明治期には「よかよか飴屋(あめや)」も金花糖を売り歩いたが、昭和初期の金花糖は駄菓子屋の王者であった。おもに当て物用で、1等賞品の大鯛で子供の射幸心をあおった。この砂糖菓子の親類に生姜糖(しょうがとう)がある。
[沢 史生]