金鶏(読み)キンケイ(英語表記)Золотой петушок/Zolotoy petushok

デジタル大辞泉 「金鶏」の意味・読み・例文・類語

きん‐けい【金鶏】

天上にすむという想像上の鶏。この鶏が鳴いて暁を知らせると、天下の鶏がこれに応じて鳴くという。転じて、暁に鳴く鶏。あけのとり。

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精選版 日本国語大辞典 「金鶏」の意味・読み・例文・類語

きん‐けい【金鶏・金&JISEF82;・錦鶏・錦&JISEF82;】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 金鶏・金雞 ) 金鶏星(きんけいせい)の中にすむという想像上の鶏。この鶏がまず鳴いて暁を報じ、天下の鶏がこれに応じて鳴くという。転じて、暁に鳴く鶏。あけのとり。金鶏鳥
      1. [初出の実例]「金鶏(キンケイ)三たび唱へて、雪より白む山の端に、横雲漸く引き渡りければ」(出典:太平記(14C後)一七)
      2. [その他の文献]〔祖庭事苑‐懐禅師前録・金鶏〕
    2. ( 金鶏・金雞 ) 禅宗の祖、「達磨」をたとえていう。〔景徳伝燈録‐六〕
    3. ( 錦鶏・錦雞 ) キジ科の鳥。全長雄約一〇五、雌約六五センチメートル。雄の尾長約七五センチメートル。羽毛、形態ともにキジに似て、雄の羽はきわめて美しい。雄は頭頂に黄金色の羽冠を戴き、えりは橙色の地に青黒色のしま模様の飾り羽があり、扇状に広げる。体の下面は赤く、腰は黄色、尾は褐色の地に淡色斑点がある。雌はやや小さく、全身褐色で暗褐色の斑紋がある。中国西南部の山地原産で、世界各地で飼育。日本では江戸時代から飼われる。にしきどり。金鶏鳥。〔日葡辞書(1603‐04)〕
      1. [初出の実例]「孔雀・錦鶏(キンケイ)鸚哥(いんこ)の類、高金出して、弄ども」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編)
      2. [その他の文献]〔桂海虞衡志‐禽志〕
  2. [ 2 ] ( 金鶏 )( 原題[ロシア語] Zolotoj Petušok ) オペラ。リムスキー‐コルサコフ作。プロローグエピローグつきで三幕。プーシキンの幻想的物語を素材とし、内容が帝政ロシアを批判したものとして上演が禁止され、作者の死後一九〇九年に初演

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金鶏」の意味・わかりやすい解説

金鶏
きんけい
Золотой петушок/Zolotoy petushok

ロシアのリムスキー・コルサコフが最晩年に作曲したオペラ。3幕(プロローグとエピローグ付き)。危急のときに鳴く金鶏を星占師から献上された王が、戦勝の褒美に、獲得した東方の女王を要求され、それを拒んだため金鶏に突き殺されるという物語。彼は、この作品においてもロシア民族音楽の要素を大幅に取り入れて国民楽派の伝統を守っているが、その半面、登場人物にそれぞれ特定の主題動機を配して区別するライト・モチーフ(示導動機)の手法、そしてオーケストラによる情景および心理描写の手法も積極的に用いている。これはワーグナーの楽劇からの影響といえよう。なお、プーシキン原作のおとぎ話に基づくV・I・ベルスキーのロシア語台本が当時のツァー体制の横暴ぶりを鋭く風刺しているため、検閲当局の圧力で作曲者の生存中には上演できず、死後、一部を削除して1909年にモスクワで初演された。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「金鶏」の解説

金鶏

ロシアの作曲家リムスキー・コルサコフのロシア語による全3幕のオペラ(1909)。プーシキンの童話を題材にした作品。

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普及版 字通 「金鶏」の読み・字形・画数・意味

【金鶏】きんけい

天鶏。

字通「金」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「金鶏」の解説

金鶏 (キンケイ)

学名:Chrysolophus pictus
動物。キジ科の鳥

金鶏 (キンケイ)

動物。想像上の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の金鶏の言及

【フォーキン】より

…しかしバレエ・リュッスのパリ公演を企画したディアギレフはこの改革案に共感し,1909‐12年,14年のバレエ・リュッスの演目のほとんどをフォーキンに委嘱する。この時期に《レ・シルフィード》(1909),《ペトルーシカ》(1911),《ダフニスとクロエ》(1912),《金鶏》(1914,音楽はリムスキー・コルサコフ)など,20世紀バレエの幕開けを告げる名作がつくられた。これらは〈すべてのバレエはその主題と音楽に即した動きを与えられるべきで,古典舞踊のステップの濫用はさけなければならない〉という彼の主張を具現したものである。…

【リムスキー・コルサコフ】より

…一時,創作上の停滞期を迎えたが,チャイコフスキーの死後(1893)ふたたび異常な創作力の回復をみせて,毎年のように新作オペラを発表した。そのなかには,《サトコ》(1896),《皇帝の花嫁》(1898),《皇帝サルタンの物語》(1900),《金鶏》(1907)など,今日まで上演される話題作も多い。晩年に書き残した回想録《わが音楽の生涯の年代記》は貴重な歴史的記録である。…

※「金鶏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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