ロシアのリムスキー・コルサコフが最晩年に作曲したオペラ。3幕(プロローグとエピローグ付き)。危急のときに鳴く金鶏を星占師から献上された王が、戦勝の褒美に、獲得した東方の女王を要求され、それを拒んだため金鶏に突き殺されるという物語。彼は、この作品においてもロシア民族音楽の要素を大幅に取り入れて国民楽派の伝統を守っているが、その半面、登場人物にそれぞれ特定の主題動機を配して区別するライト・モチーフ(示導動機)の手法、そしてオーケストラによる情景および心理描写の手法も積極的に用いている。これはワーグナーの楽劇からの影響といえよう。なお、プーシキン原作のおとぎ話に基づくV・I・ベルスキーのロシア語台本が当時のツァー体制の横暴ぶりを鋭く風刺しているため、検閲当局の圧力で作曲者の生存中には上演できず、死後、一部を削除して1909年にモスクワで初演された。
[三宅幸夫]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…しかしバレエ・リュッスのパリ公演を企画したディアギレフはこの改革案に共感し,1909‐12年,14年のバレエ・リュッスの演目のほとんどをフォーキンに委嘱する。この時期に《レ・シルフィード》(1909),《ペトルーシカ》(1911),《ダフニスとクロエ》(1912),《金鶏》(1914,音楽はリムスキー・コルサコフ)など,20世紀バレエの幕開けを告げる名作がつくられた。これらは〈すべてのバレエはその主題と音楽に即した動きを与えられるべきで,古典舞踊のステップの濫用はさけなければならない〉という彼の主張を具現したものである。…
…一時,創作上の停滞期を迎えたが,チャイコフスキーの死後(1893)ふたたび異常な創作力の回復をみせて,毎年のように新作オペラを発表した。そのなかには,《サトコ》(1896),《皇帝の花嫁》(1898),《皇帝サルタンの物語》(1900),《金鶏》(1907)など,今日まで上演される話題作も多い。晩年に書き残した回想録《わが音楽の生涯の年代記》は貴重な歴史的記録である。…
※「金鶏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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