ロシアのリムスキー・コルサコフが最晩年に作曲したオペラ。3幕(プロローグとエピローグ付き)。危急のときに鳴く金鶏を星占師から献上された王が、戦勝の褒美に、獲得した東方の女王を要求され、それを拒んだため金鶏に突き殺されるという物語。彼は、この作品においてもロシア民族音楽の要素を大幅に取り入れて国民楽派の伝統を守っているが、その半面、登場人物にそれぞれ特定の主題動機を配して区別するライト・モチーフ(示導動機)の手法、そしてオーケストラによる情景および心理描写の手法も積極的に用いている。これはワーグナーの楽劇からの影響といえよう。なお、プーシキン原作のおとぎ話に基づくV・I・ベルスキーのロシア語台本が当時のツァー体制の横暴ぶりを鋭く風刺しているため、検閲当局の圧力で作曲者の生存中には上演できず、死後、一部を削除して1909年にモスクワで初演された。
[三宅幸夫]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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